2014 Fiscal Year Research-status Report
有機リン中毒性痙攣に対するアトロピンおよびプラリドキシムの治療的効果の実験的検証
Project/Area Number |
23592675
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
成松 英智 札幌医科大学, 医学部, 教授 (70295343)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新谷 知久 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80510312)
川真田 樹人 信州大学, 医学部, 教授 (90315523)
山内 正憲 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00404723)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
|
Keywords | 有機リン / コリンエステラーゼ阻害薬 / 痙攣波 / 海馬 / アトロピン / プラリドキシム / 抗痙攣薬 / 中毒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は有機リン系コリンエステラーゼ(以下OP-ChE)阻害薬による誘発性痙攣波の発生機序解明のための検討を行った。昨年度の研究結果を踏まえ、選択的(M1~M4)ムスカリン受容体拮抗薬の効果を検討した。主にmulti electrode alley system を用いた細胞外電位同時多点記録をおこなった。 昨年度までの検討で、1)高カリウム環境下においてparaoxon(OP-ChE阻害薬)はラット海馬スライスCA1-pyramidal cellsに誘発痙攣波を発生させること、2)atropineはこのparaoxonに対して前、同時 後投与のいずれの投与タイミングにおいても誘発痙攣波の発生を抑制すること、3)pralidoximeはいずれの投与時期においても誘発痙攣波の発生を抑制しないことを確認した。本年度は、非選択的ムスカリン受容体拮抗薬であるatropineによりOP-ChE阻害薬誘発痙攣の発生が抑制されたことに着目し、その機序解明のためM1~M4選択性ムスカリン受容体拮抗薬の効果を検討した。 その結果、M1およびM3ムスカリン受容体拮抗薬が誘発痙攣波の発生を抑制することを確認した。一方、M2およびM4ムスカリン受容体拮抗薬は誘発痙攣波の発生を抑制しなかった。 この結果から、OP-ChE阻害薬誘発性痙攣の発生機序として、ムスカリン受容体、特にM1およびM3ムスカリン受容体が関与している可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までの検討でOP-ChE阻害薬中毒誘発性痙攣の確立、およびアトロピン、プラリドキシムの検討を行い、本年度はその結果に着目し、誘発性痙攣の発生機序としてムスカリン受容体の関与を疑い、M1およびM3ムスカリン受容体が関与している可能性が示された。本年度の結果は本研究の根幹をなす重要な結果であり、おおむ重畳に研究が進行していることを示すものである。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の検討では、OP-ChE阻害薬誘発性痙攣の発生機序として、M1およびM3ムスカリン受容体が関与している可能性が示された。平成27年度は、OP-ChE阻害薬中毒時に抗痙攣薬として使用される各種麻酔薬および抗痙攣薬の治療効果の評価をすすめていく。
|
Causes of Carryover |
本年度に想定していた研究内容の一部を平成27年度に行うこととしたため、必要な材料、薬品および消耗品の使用が想定より減少した、この余剰分は27年度中にすみやかに使用する予定である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に行う研究に必要な材料、薬品および消耗品としてすみやかに使用する予定である。
|