2012 Fiscal Year Research-status Report
高温耐性ラットであるFOKラットの高温環境下での遺伝子発現・制御システムの解明
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23592676
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
増田 和彦 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00381799)
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Keywords | FOKラット / 高温耐性ラット / ドキソルビシン / DNA二重鎖切断 |
Research Abstract |
FOKラット及びコントロールラットの皮膚組織から線維芽細胞の単離・培養を行い、高温環境下と非高温環境下で細胞培養を行い細胞増殖の程度を比較検討したが両者においてとくに差は認められなかった。その原因として実験手法によることも考えられるため再度実験手法も含めた検討を行った。 このFOKラットは高温環境に耐性のみならず、低温環境にも比較的耐性であるとの報告があることからストレス環境下全般的に耐性の可能性があること、さらに細胞は高温環境下ではDNAの二重鎖切断を受けるとの報告もあることから、DNAの二重鎖切断を引き起こすようなストレス環境下においてもFOKラットは耐性の可能性が高いと考えた。そこで上記2種類のラットの線維芽細胞に対して二重鎖切断を引き起こすと報告されているドキソルビシン処理を行い、上記2種類のラット間で細胞増殖の程度を比較検討したところコントロールラットに比べてFOKラットの線維芽細胞の方がドキソルビシン処理による細胞増殖抑制効果があきらかに小さく両者間において差を認めた実験結果であった。これは、おそらくコントロールラットの線維芽細胞の方がドキソルビシンによるDNAの二重鎖切断によってアポトーシスに至った細胞の割合が多かったためと予想され、すなわち二重鎖切断を引き起こすようなストレス環境下においてもこのFOKラットは一般的なラットと比較して耐性の可能性があることが示唆された結果であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
申請時にはこの研究を行うためのエフォートは40%と申請を行った。しかしながら、初年度においてこの研究以外のエフォートの割合が90%以上となってしまったため平成23年度は研究を行うことができなかった。平成23年度の年度末近くになってこの研究を行うための体制を整えることができたため平成24年度は実験を開始することが可能となった。ただし、FOKラットの繁殖系統維持は自施設で行っているため実験に使用する3~5週齢のラットを一定間隔をおいてしか入手できなかったため初年度に予定していたDNAマイクロアレイの実験までは到達できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
FOKラット及びコントロールラットの皮膚組織から線維芽細胞の単離・培養を行い、DNA二重鎖切断を引き起こすと報告されているドキソルビシン処理におけるストレス環境下では両者間に差を認めた。しかしながら、高温環境下と非高温環境下での細胞培養では両者間においては差を認められなかったが、その原因として高温環境下での細胞培養の方法に問題のある可能性を否定できないため再度その実験手法を検討したい。しかし、再検討を行っても両者間に差を認めないときは、上記ドキソルビシンによるストレス環境下での実験に的を絞って実験を進めて行く予定である。具体的には 1)上記ストレス環境下での両者間の差についてはドキソルビシ処理によって細胞がアポトーシスに至った割合がコントロールラットで多かったことを確認したい。 2)ドキソルビシン処理によるストレス環境下において両者間でDNAマイクロアレイ法を行うことによって遺伝子レベルでの比較解析を行う予定である。 なお、今年度は研究期間の最終年度であるが、初年度は上記理由により全く実験ができなかったこと、また昨年度の実験によって上記ストレス環境下において上記両者間で差を認めた結果が得られたこと、さらにDNAマイクロアレイ法の実験結果の解析、確認実験にさらなら時間を要することが予想されるため、本年度半ばに研究期間の延長申請を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
FOKラットを系統維持するための飼育費用およびコントロールラットの購入飼育費用、FOKラットやコントロールラットから単離した細胞を培養するためやそれぞれのラットの細胞・臓器からDNAやRNAを抽出するための試薬やキット製品代、さらに上記ストレス環境下においてFOKラットおよびコントロールラットの線維芽細胞の細胞増殖結果に差を認めたため、当初の実験計画のDNAマイクロアレイ法を行う予定でありその外注委託費用に使用する予定である。
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