2014 Fiscal Year Annual Research Report
高温耐性ラットであるFOKラットの高温環境下での遺伝子発現・制御システムの解明
Project/Area Number |
23592676
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
増田 和彦 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00381799)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | FOKラット / 高温耐性ラット / 線維芽細胞 / Pre-heating / DNA障害 / 修復能 |
Outline of Annual Research Achievements |
高温耐性ラットであるFOKラットについて、細胞レベルにおいても高温耐性の性質を保持しているかどうか未だ報告されていない。そこで、まず、FOKラット及びコントロールラットであるWKAHラットの胸腹壁の皮膚から線維芽細胞を単離・培養し、両者において高温環境下での細胞生存率を調べる実験系を確立した。その実験系とは、40℃、42.5℃、45℃に設定した恒温槽に、線維芽細胞を培養している6cmシャーレを沈まない程度に15分、30分、45分、60分、75分間浸した。その後、細胞を集めて96ウェルプレートに5000個ずつ移し、24時間、48時間、72時間後に480nmの吸光度測定することで線維芽細胞の細胞生存率を測定した。 実験結果は、40℃、42.5℃の高温環境下では、むしろFOKラットよりWKAHラットの線維芽細胞の生存率の方が高い傾向を認めた。45℃の高温環境下では15分、30分処理後の24時間、48時間後の細胞生存率においてFOKラットの線維芽細胞の方がWKAHラットより高い傾向を認めた。さらに、上記6cmシャーレを45℃の高温環境下に置く約10時間前に45℃の恒温槽に8分間浸したところ(Pre-heating)、細胞生存率は両者とも改善し、さらにWKAHラットに比べてFOKラットの線維芽細胞の方が45℃15分、30分、45分、60分、75分のすべてにおいて生存率が高い傾向を認めた。文献によればこの「Pre-heating」を行うことで熱によるDNA障害に対する修復能を高める効果があるとされている。以上の結果より、1)45℃、15分、30分の高温環境下ではFOKラットの線維芽細胞の方がコントロールラットの細胞に比べて生存率が高まる傾向があること、2)「Pre-heating」を行った実験結果から、1)の傾向について、熱にるDNA障害に対する修復能が関与している可能性が示唆された。今後、当初の研究目的にあったDNAマイクロアレイ法を用いた遺伝子レベルでの比較解析を行うことを検討中である。
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