2011 Fiscal Year Research-status Report
新規蛋白質ナオフェンはエンドトキシンによる肝障害を制御する新たな因子となりうるか
Project/Area Number |
23592689
|
Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
馮 国剛 愛知医科大学, 医学部, 講師 (70351111)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 隆 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (10378052)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | エンドトキシン / WD-repeat protein / アポトーシス / caspase-3 / Bcl-2 / Bcl-xL / チトクロムc / クッパー細胞 |
Research Abstract |
エンドトキシン(LPS)による肝障害の発生において、WD-repeat domain を含有し、アポトーシスを誘導する蛋白質naofenの発現変化とその役割について in vivoと in vitroで検討した。LPS(500μg/kg)を静脈内投与したラット肝臓において投与後3時間から、naofenの発現が有意に増加し、9時間後に最大になったと同時に、caspase-3の活性も増大した。さらに免疫染色法とTunel法を用いてnaofenの発現部位およびアポトーシスの発生を検討した結果、コントロールラット(生食投与群)に対してLPS投与9時間後の肝細胞においてnaofenの発現増加に伴って、アポトーシス発生も認めた。初代培養肝細胞において、LPS(100ng/ml)はnaofenの発現に影響を及ぼさなかったが、LPSを加えた培養液でインキュベートしたクッパー細胞の培養上清(Kupffer cell-conditioned medium:KC-CM)はnaofenの発現を有意に増加させた。KC-CMで培養した肝細胞においてcaspase-3の活性が増加し、Bcl-2とBcl-xLの発現が抑制されたが、これらの変化はnaofen siRNAの前導入によって抑制された。Naofen を強発現した肝細胞において、Bcl-2とBcl-xL発現の抑制、ミトコンドリアからのチトクロムc遊離の促進とcaspase-3活性の増加を認めた。以上の結果から、エンドトキシンによる誘導した肝細胞アポトーシスにおいて、naofenの発現は活性化されたクッパー細胞によって増加し、ミトコンドリア経路を介してアポトーシスを促進する可能性が示唆された。Naofenはエンドトキシンによる肝障害の病態に強く関与し、エンドトキシン血症の治療に際して、naofenが新たな分子標的となる可能性が考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.計画した通に、in vivoでエンドトキシン(LPS)による肝障害の発生において、naofenの発現変化、発現部位及びアポトーシス発生との関連について調べ終わった。さらに、in vitroで、LPSによるnaofen発現増加のメカニズム、naofen発現の増加は肝細胞アポトーシスに対する影響及びそのシグナル伝達を解析できた。 2.当初2年目に計画したnaofen遺伝子プロモーターの同定は今年中にもう完成した。ルシフェラーゼ遺伝子を有するベクター(pGL3-Basic)にnaofen遺伝子の転写開始点から5'側の上流100bp, 250bp, 500bp,1000bp, 2000bp, 3000bp, 4000bp, 5000bp, 6000bp と8000bpまでの領域をそれぞれ挿入し、レポーターアッセイ用プラスミドを作製し、NIH3T3細胞に導入した。導入24時間後に、ルシフェラーゼ活性を測定し、naofen遺伝子プロモーターの転写活性を検討した。Naofen遺伝子転写開始点から500bpまでの上流領域が最大のレポーター活性を示したことから、転写開始点から500bpまでの上流領域にnaofen遺伝子プロモーターが存在するを考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.同定したnaofen遺伝子のプロモーター領域を用いて、naofen遺伝子の転写を制御する因子を検索する。2.LPSによる肝障害においてnaofenの結合物質であるannexin 1の発現変化とその役割を検討する。3.マイクロアレイを用いて、naofenの発現変化によって影響を受ける物質を網羅的に検索する。4.Annexin1のリン酸化および発現量、PLA2活性およびPGE2などのプロスタグランジンの遊離に対するnaofen発現の影響を解析する。5.Naofenを強発現した大腸菌から、naofenタンパク質を精製する。それを用いて、抗naofen抗体を作製する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究費が5096円残っているので、それを次年度の研究費と合わせて使用する予定である。1.サンプル保管用の冷凍庫(-20℃)2.動物代および細胞培養の物品 3.プラスミドの精製キット、遺伝子導入試薬4.RT-PCR、real time PCR試薬5.Western blot用試薬・抗体
|