2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23592690
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
櫻田 宏一 科学警察研究所, 法科学第一部, 室長 (10334228)
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Keywords | 神経ガス / オキシム / パム / 2-PAM / ATPase |
Research Abstract |
オキシム類が持つ毒性機序を明らかにするための基礎的検討として、ラット心筋におけるK+-EDTA ATPase活性に対する影響について検討を行った。すなわち、以前の研究課題において、その血液脳関門通過率が30%以上であることを明らかにした新規復活剤候補のパム類似体4-[(hydroxyimino)methyl]-1-octylpyridinium bromide (4-PAO)は、昨年度の検討の中では、0.04-40μM濃度のActomyosin Mg2+-ATPase活性に対しては有意な影響を与えなかったものの、K+-EDTA ATPase 活性に対しては、40μM濃度で約32%抑制することを確認した。本年度は、引き続き各種オキシム類の影響について検討を行った。その結果、2-PAMにおいても40μM濃度ではその活性を有意に抑制する可能性が明らかとなり、一方、4μM濃度では、2-PAM、4-[(hydroxyimino)methyl]-1-(2-phenylethyl) pyridinium bromide (4-PAPE)、obidoxime及びdiacetyl monoximeにおいて、いずれも有意な抑制は与えなかった。これらの結果より、2-PAMの臨床投与濃度の約10倍に相当する高濃度のオキシム類は、miosin分子を介したATPase活性抑制により、心収縮抑制に影響を与える可能性が示唆された。これまでに明らかにしてきた、オキシム類のフリーラジカルを介したミトコンドリア電子伝達酵素系の抑制や房室伝導系に対する抑制作用など、本結果との関連についてもさらに詳細な検討を行っていく必要があると考えられる。さらに、本年度は、これまで有機合成した新規パム類似体数十種類を使い、クロマトにおける脂溶性の影響等の検討も行うことができた。
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Research Products
(1 results)