2012 Fiscal Year Research-status Report
心虚血・再灌流時における心筋間質セロトニン動態解明と心筋細胞傷害軽減の検討
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23592691
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
秋山 剛 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (70202554)
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Keywords | 心臓 / 虚血・再灌流 / セロトニン / 5-HIAA / マイクロダイアリシス法 |
Research Abstract |
心筋間質5-HT動態をより詳しく解明するために、麻酔下ラット左室心筋においてマイクロダイアリシス法を用い、心筋間質の5-HTと、5-HTのMAOによる代謝物である5-HIAA (5-hydroxyindole acetic acid)を同時モニタリングした。この5-HTと5-HIAA同時モニタリングにより、5-HT分泌、再取り込み、代謝等の心筋間質5-HT動態を正確に把握することが可能であることを示した。また、生理的条件下では、心筋間質5-HIAA濃度は心筋間質5-HT濃度より高く、逆に血中5-HIAA濃度は血中5-HT濃度より低く、心筋間質5-HTの多くは、血中5-HTに由来しており、心筋組織では血中由来の5-HTの再取り込み、およびMAOによる代謝が活発であると推察された。 また、心虚血再灌流時の5-HT動態を詳しく解明するために、麻酔下ラットにおいて、心虚血・再灌流時における虚血部心筋間質の5-HTと5-HIAA濃度を同時モニタリングした。虚血時は心筋間質5-HTの上昇にもかかわらず、心筋間質5-HIAAは虚血25分までは低下し、上昇を認めなかった。低酸素あるいはアシド-シスによってMAO activityが低下し、5-HT代謝が抑制されたためと推察された。また、再灌流後、心筋間質5-HT濃度はさらに一過性に上昇し、その後急速に低下した。一方、心筋間質5-HIAA濃度は再灌流後、著明に上昇し、再灌流後46分まで高い値を維持した。再灌流後の心筋間質5-HT低下には、MAOによる5-HT代謝が大きく貢献していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書の現在までの研究計画は、心虚血・再灌流時の虚血部心筋間質5-HT動態を解明することであり、現在までに5-HT 再取り込み機能、 MAOによる5-HT代謝機能が心虚血・再灌流時の虚血部心筋間質5-HT動態に及ぼす影響を明らかにした。また、より詳しい心虚血・再灌流時の虚血部心筋間質5-HT動態を解析するために、麻酔下ラットに心臓マイクロダイアリシス法を用いて、心筋間質5-HTと5-HIAAの同時モニタリングを行い、生理学的条件下における心筋間質5-HT動態を明らかにした。さらに、麻酔下ラットにおいて、虚血部心筋間質5-HTと5-HIAAを同時モニタリングすることにより、虚血・再灌流時の5-HT動態をより詳しく解明し、研究は申請書の予定通り順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書に記載した通り、虚血・再灌流時に虚血部心筋間質に大量に放出される5-HTが、心筋細胞傷害にどの程度関わっているか、またその心筋細胞障害はreceptor-dependentによるものか、MAO-dependentによるものか、さらにその心筋細胞傷害を薬理学的に軽減できるかの検討を、予定通り進めていく方針である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請書通りに主として実験動物、薬剤、HPLC消耗品、Dialysis probe 材料等の消耗品経費に使用する予定である。動物実験の一部を次年度に繰り越したため、物品費として残高の一部を繰り越した。
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Research Products
(9 results)