2011 Fiscal Year Research-status Report
光線力学療法を応用した培養細胞からの新規マイコプラズマ除去方法の開発
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23592692
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷部 晃 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (90281815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 健一郎 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (50145265)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | マイコプラズマ / 光線力学療法 / aPDT / contamination |
Research Abstract |
ヒト口腔に常在し、種々の細胞を汚染しているMycoplasma salivarium と、ヒト胎児腎由来細胞であるHEK293を使い、混入したM. salivariumの光線力学的(aPDT)除去を試みている。光感受性物質としてメチレンブルー、光照射器として歯科用LED照射器(光重合レジン硬化用)の改造品を使用し、種々の条件下でaPDTによる汚染培養細胞からのM. salivariumの除去を試みた。その結果、液体培地中のM. salivariumはaPDTにより完全に殺滅できること、aPDTはメチレンブルー100ng/ml以下でLED照射が60秒以下であればHEK293細胞の生存に影響を与えないこと、HEK293細胞をPBSで洗うことで物理的にM. salivarium数を減らしておいてからaPDTを行うと効率良く除去出来ることなどを明らかにした。 さらに、HEK293以外の種々の細胞において、それぞれaPDTにより受ける影響が異なっていることがわかった。具体的には、aPDTによる細胞障害性に対する感受性に違いがあり、同一条件下でも細胞死を起こす細胞とそうではない細胞が存在しているということである。したがって、あらゆる細胞に普遍的な効率の良い方法を確立することは困難であるが、それぞれの細胞に特異的な方法の確立、また普遍的な方法として、細胞障害性の低い条件を繰り返し適用することなどでマイコプラズマの除去に有効な方法を確立できるのではないかと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイコプラズマ感染細胞からのマイコプラズマの除去において、我々はこれまでに以下のようなことを明らかにした。それは、HEK293細胞に混入したM. salivariumを、HEK293細胞を傷害せずに歯科用LED照射器を用いて光線力学療法的に除去することが可能であるということである。本研究成果については国際的な学術雑誌に投稿準備中である。このように、論文として成果発表をできるところまで来ているので、おおむね順調に進展していると言える。現段階では普遍的なマイコプラズマ除去方法に確立には至ってないが、本研究内容を論文発表することで、普遍的な除去方法の確立ために有益な情報が世界から得られ、したがってさらに研究が進展するものと思われる。 また、普遍的な方法の確立についてはなかなか難しいところもあると予想されるが、細胞ごとならびにマイコプラズマごとに適切な除去方法を確立するのは可能であり、さらにあらゆるマイコプラズマならびにあらゆる細胞に適用可能な普遍的な方法の確立についても、細胞障害性の低い条件を繰り返し適用することなどで可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのところ、おおむね順調に進展しているので、継続して予定通りに本研究課題に取り組む。現段階においては、我々が有する種々の細胞の一部においてaPDTの影響を調べているところであるので、他の細胞株においてもaPDTの影響を調べる予定である。また、マウスから得られた初代培養細胞を用いて、初代培養細胞に対するaPDTの影響も調べる。さらに、投稿準備中の論文を投稿し、査読者からの意見も参考に今後の研究を進めるつもりである。 今後は種々の細胞に対する細胞障害性だけでなく、細胞障害性を示すメカニズムについても調べることで、元来PDTが利用されていた腫瘍の治療との関連性も調べたいと考えている。というのも、我々の研究で、マイコプラズマは、マイコプラズマがその細胞表面に有するリポタンパク質を介して免疫系の細胞を刺激し、腫瘍の形成速度に影響を与えることがわかっているからマイコプラズマ・PDT・腫瘍は互いに関係しあっており、これらの関わりについて明らかにできると思われる。したがって、本研究においては、混入したマイコプラズマの除去を行うための細胞へのaPDTの影響のみならず、マイコプラズマの除去が与える腫瘍組織の形成への影響まで視野に入れてaPDTの細胞への影響を調べるつもりである。研究成果の報告は主に国内の種々の学会で行い、論文は国際的な学術雑誌に投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
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Research Products
(1 results)