2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨芽細胞系列の分化多様性に対するPTHと活性型ビタミンDのアナボリック作用機序
Project/Area Number |
23592693
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
李 敏啓 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (60447612)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | ビタミンD / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / bone minimodeling / 増殖 / 分化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、前骨芽細胞・成熟型骨芽細胞などの細胞系列に対する血清カルシウム調節ホルモンである活性型ビタミンDや副甲状腺ホルモン(PTH)のアナボリック効果の作用機序を解明することである。本研究計画では、PTHのアナボリック作用が破骨細胞とのカップリングを介していないか解明するため、破骨細胞の存在しないc-fos-/-マウスにPTHを投与したところ、前骨芽細胞の増殖は認められたが、骨芽細胞への分化や骨基質合成は認められないことから、PTHのアナボリック作用は破骨細胞とのカップリングに依存すると推測された。一方、活性型ビタミンDアナログであるエルデカルシトールの作用機序を解明するため、卵巣摘出(OVX)ラットにエルデカルシトールを投与し、脛骨の骨幹端骨梁における組織化学的検索を行った。OVX群に比べてエルデカルシトール投与群では、TRAP陽性破骨細胞の数は有意に減少しており、さらにTEMでは、発達の悪い波状縁を有する破骨細胞を観察した。一方、"budding"状に隆起した骨形成が認められたことから、mini-modelingが示唆された。また、破骨細胞の減少はALP陽性を示す前骨芽細胞数の減少に伴うことも示された。従って、エルデカルシトールの作用は、PTHとは異なり、前骨芽細胞の増殖ではなく骨芽細胞への分化、ならびに、破骨細胞性骨吸収に依存しないmini-modelingにあると思われた。一方、破骨細胞前駆細胞は、前骨芽細胞が減少してしまうためにcell-to-cell contactができず、破骨細胞分化が抑制されていると考えられた。以上、PTHは前骨芽細胞の増殖を誘導し、その後、破骨細胞とのカップリングによって成熟骨芽細胞へ分化させること、一方、エルデカルシトールは破骨細胞の分化制御ならびに骨芽細胞への分化を亢進する作用を有すると推測された。
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Research Products
(4 results)