2011 Fiscal Year Research-status Report
ミネラルとプロテオームの解析を用いた修復骨成熟過程におけるMMPの役割の検討
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23592694
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
笹野 泰之 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30196191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 恵 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20431512)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 骨 / 修復 / 石灰化 / マイクロCT / 分析走査電子顕微鏡 / ラット |
Research Abstract |
平成23年度では、ラット頭頂骨規格化骨欠損に形成される修復骨の骨密度と構成元素濃度を解析し、修復骨の石灰化進行を検討した。全身麻酔下に、生後12 週齢ラットの頭頂骨に直径3,8mm の規格化骨欠損を作製した。術後1 週、2 週、4 週の段階でラットを4%パラホルムアルデヒドで灌流固定後、頭蓋骨を摘出し、規格化骨欠損部に形成された修復骨の骨密度をマイクロCT を用いて定量解析した。さらに試料を非脱灰で凍結包埋して修復骨中央の切片を作製し、トルイジンブルー染色を施し組織学的に検討した。また、切片を得た凍結包埋試料を凍結乾燥し、修復骨中央断面を対象に分析走査電子顕微鏡(SEM-EDX)を用いて構成元素(Ca, P, C)の分布と相対的な濃度を解析した。マイクロCT画像の検討で術後1 週で骨欠損部に不透過像が認められた。組織学的に骨芽細胞と骨細胞が認められ、この段階で修復骨が形成されていることが示された。術後1週で粗造であった修復骨基質は2 週、4 週と術後週齢が増すに伴い緻密な構造となった。さらに骨基質の緻密化に伴い、修復骨の骨密度は上昇傾向を示した。SEM-EDX による分析では、術後1週と比較して、術後2 週から4 週にかけて修復骨におけるCa およびP の相対的元素濃度は上昇し、一方、C の元素濃度は低下した。CaとPの元素濃度の上昇は石灰化の進行を示し、Cの元素濃度の低下は有機質の減少を示すと考えられた。修復骨の形成過程では、経時的に石灰化が進行する一方で、有機質が減少する傾向が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年3月11日の東日本大震災で実験室および実験設備が広範に被災し復旧に長期間を要したため、当初の研究計画通りに研究が遂行できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度では、修復骨におけるMMP酵素活性をin situ zymographyで解析し、また、ミネラルの結晶状態はFT-IRで、ミネラルの結晶の超微細形態学的な特徴は透過型電子顕微鏡でそれぞれ解析し、平成23年度で得たマイクロCTと分析走査電子顕微鏡の解析結果と総合して、骨修復過程におけるMMP酵素活性とミネラルの特性との関連を検討する。平成25年度では、規格化骨欠損部に形成された修復骨を摘出してタンパクを抽出し、二次元電気泳動と銀染色を施しタンパク発現を網羅的に定量解析して、骨修復過程で発現量が特徴的に増減するスポットについてMALDI-TOF MASSによる質量分析を実施し、骨修復に関与すると想定されるタンパクの特性を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24および25年度の研究費の主な使用計画を以下に記載する。(実験用動物・ラット)主として生後12週齢のラット(約3千円/匹)を使用する。平成24,25年度ではプロテオーム解析用を含め、各年度、約100匹(300千円)のラットが必要と見込まれる。(プラスチック・ガラス器具)試料作製および修復骨摘出試料と抽出タンパクを対象とする実験に際し必要となり、平成24、25年度でそれぞれ200千円を使用する。(ISZ用試薬)DQ-gelatin(50千円/本)4本の購入を見込み、平成24年度に200千円を使用する。(FTIR用スライドガラス)FTIR解析のため、切片を載せる特殊な赤外反射スライドガラスを必要とする。平成24年度に200千円(約800枚)を使用する。(電子顕微鏡試料用ダイヤモンドナイフ)透過型電子顕微鏡による解析のため超薄切片を作製する際に不可欠であり、平成24年度に400千円(1個)を使用する。(タンパク抽出用試薬)平成24,25年度に150千円(75千円/本 2本)を見込む。(プロテオーム解析委託)平成24年度では、術後1、2、4週の段階の試料を対象に二次元電気泳動を実施し、タンパク発現のスポットを網羅的に定量解析する。各段階で独立した2試料を解析することから、計6回分270千円(45千円/回)を使用する。平成25年度では、ゲル上の特徴的なスポットを抽出し、MALDI-TOF MASS質量分析で解析する。10スポットの解析を想定し、300千円(30千円/スポット)を見込む。(国内旅費・外国旅費)旅費として、平成24,25年度それぞれ200千円を見込む。
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