2012 Fiscal Year Research-status Report
ミネラルとプロテオームの解析を用いた修復骨成熟過程におけるMMPの役割の検討
Project/Area Number |
23592694
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
笹野 泰之 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30196191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 恵 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20431512)
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Keywords | 骨 / 修復 / 石灰化 / マイクロCT / 分析走査電子顕微鏡 / ラット |
Research Abstract |
平成24年度では平成23年度で検討できなかった術後長期間(術後8週間)飼育した試料を中心に解析した。全身麻酔下で、生後12週齢ラットの頭頂骨に直径3.8mmの規格化骨欠損を作製した。術後1週、2週、4週および8週の段階でラットを屠殺し4%パラホルムアルデヒドで灌流固定後、頭蓋骨を摘出した。規格化骨欠損部に形成された修復骨の骨密度はマイクロCTにより定量解析した。さらに非脱灰で凍結包埋した試料から修復骨中央部の切片を作製し、組織学的な検討を加えた。切片を得た凍結包埋試料を凍結乾燥した後、修復骨中央断面を対象に走査電子顕微鏡によるエネルギー分散型X線分析(SEM-EDX)を用いて構成元素(Ca, P, C)の分布と相対的な濃度を解析した。なお、生後12週齢ラットの頭頂骨に同様の解析を行うことでコントロールとした。本研究における実験動物の取り扱いは、東北大学における動物実験に関する指針に則って行った。 頭蓋骨規格化骨欠損作製後1週、2週、4週、8週の各時点およびコントロールについてそれぞれ7個体、計35個体を分析検討した。修復骨の骨密度(BMD)は術後1週で平均235.9±23.6mg/cm3であったが術後週齢が増すに伴い増加し,術後8週においては平均663.5±66.1mg/cm3に達した。また、SEM-EDXによる分析で、元素濃度比Ca/Pは術後週齢とともに上昇するが、元素濃度比C/CaとC/Pは低下することが示された。 さらに上記研究の途上で、修復骨の形成過程を理解するためには、骨の発生過程を比較することが有用であるとの着想を得たため、胎生16日齢~生後6週齢のラット頭蓋骨発生過程の試料を作製し、検討を開始した。マイクロCTとFT-IRを用いた予備的な解析から、骨発生過程において、骨密度の上昇とミネラルの結晶性の成熟が認められている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究分担者 中村恵助教が産休・育児休暇のため、平成24年度の大半の期間で研究活動に参加できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度では、平成23年度および24年度で得た修復骨形成過程の石灰化進行に関する研究成果に追加実験による成果を加え、論文として投稿し受理掲載を目指す。 一方、骨の発生過程における石灰化の進行に関しては知見が乏しいことから、平成24年度に引き続き、胎生16日齢~生後6週齢のラット頭蓋骨発生過程を対象として、マイクロCT、FT-IRおよびSEM-EDX等を利用して、石灰化の進行を量的および質的な観点から検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費の主な使用計画を以下に記載する。なお、平成24年度の未使用額と平成25年度請求額を合わせ、平成25年度の研究遂行に使用する。 (実験用動物・ラット)胎生16日、18日、20日(約1万円/腹)、生後1週、6週、12週齢のラット(約3千円/匹)を使用する。平成25年度では、約30腹の胎児と100匹の生後ラットが必要と見込まれ、計約600千円を使用する。(プラスチック・ガラス器具)合計約200千円を使用する。(ISZ用試薬)DQ-gelatin(約50千円/本)4本の購入を見込み、平成25年度に約200千円を使用する。(遺伝子およびタンパク実験用試薬)合計約400千円を使用する。(固定液・包埋用樹脂)合計約100千円を使用する。(国内旅費・外国旅費)旅費として、約300千円を見込む。
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