2012 Fiscal Year Research-status Report
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23592698
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿部 真土 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40448105)
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Keywords | Trps1 / 顎関節 / コラーゲン / 転写因子 / TRPS |
Research Abstract |
昨年度にマウスTrps1遺伝子欠損マウスにおいて胎生期の顎関節発生異常が認められることを見出した。このことからヒトにおけるTrichorhinophalangeal syndrome(TRPS)の患者において小額が認められる原因の一端が下顎頭成長板の発生異常に起因することが示唆された。またTrps1遺伝子欠損マウスは関節円板、ならびに関節腔の形成がほとんど認められなかったことから、このマウスにおける顎関節形成過程を透過型電子顕微鏡を用いて詳細に観察した。野生型マウスとの違いが認められ始めるのは胎生15.5日において発生中の下顎頭付近の線維芽細胞のコラーゲン分泌量がノックアウトマウスにおいて軽度に減少している像が認められた。ノックアウトマウスにおけるこの傾向は胎生16.5日になるとさらに強くなり野生型との差はさらに明らかになった。胎生18.5日では野生型マウスにおいて明瞭に関節形成要素が認められるようになるが、ノックアウトマウスでは関節円板の形成は認められず個々の細胞の形態は細胞質の量が極度に減少しほとんどが核のみで占められていた。胎生15.5日から16.5日齢において認められたコラーゲン分泌量の低下はin situ hybridization法を用いたI型コラーゲンの遺伝子発現解析から転写レベルでの低下によることが示唆された。コラーゲンは細胞外基質として細胞の分化や局在に寄与することから、Trps1ノックアウトマウスにおいて関節円板の正常発生が認められない原因の一つは適切な場が形成されないことであることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は昨年度に得られた知見をさらに詳細に解析する目的で顎関節発生領域を電子顕微鏡により観察した。その結果、関節円板、関節腔を形成する細胞は存在するものの、正常な細胞外基質が産生されないため適切に分化しない可能性を見出した。Trps1遺伝子は発生中の円板発生予定領域に発現することは申請者がすでに報告している。Trps1は過去の報告から転写抑制因子として作用することが報告されており、Trps1ノックアウトマウスにおいて円板発生領域でのコラーゲンの転写が抑制される機序は別因子を介する可能性が考えられる。 マウスTrps1遺伝子の転写調節はvivoにおける制御様式を確かめる目的でTrps1遺伝子転写開始部位上流4kbの配列の下流にCre recombinaseを配置したトランスジェニックマウス作成用のトランスジーンのクローニングを終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の二つの点を中心に据えて解析を続行する。 (1) マウスTrps1遺伝子上流4kb配列制御下でCre recombinaseを発現するトランスジェニックマウスラインの確立。このトランスジェニックマウスのラインは複数確立できると考えられる。Cre recominaseの発現する細胞の確認はマウスRosa26遺伝子座を利用したレポーターマウスと交配させることにより確認する。レポーターマウスはすでに当学部マウス飼育室で飼育されている。Creマウスとレポーターマウスを交配後、妊娠マウスより胎仔を回収、ホールあるいは切片によるX-galを基質とした染色を行う。Trps1の顎関節転写制御配列が含まれていたら組織上でTrps1を発現する、もしくは発現していた細胞が青く染色されることが期待される。 (2) Trps1遺伝子の転写開始部位上流100bpほどに認められるCpG islandのTrps1転写に対する役割の解析。この配列はCpG islandを探索するソフトで見出されたものである。局所の組織のDNAを精製後、bisulfite sequencing法を用いメチル化の状態の違いを検索する。Trps1は生理的に局在した発現をしておりこの制御が染色体上のメチル化により行われている可能性を試す。Trps1はある種の癌において発現することが知られていることから塩基の修飾が生理的、病的な状態でのTrps1の発現を調節している可能性を探る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度はトランスジェニックマウス作成、ならびにレポーターマウスを用いてのTrps1発現娘細胞のfate mappingを行う(学内遺伝子組み換え実験承認済)。トランスジェニックマウスは複数の雄マウスの獲得を目指す。良好なCreマウスさえ得ることができれば、レポーターマウスはホモでの維持が可能なためかなり効率よくfate mappingが行える。必要であればfate mappingに用いたものの隣接切片か、場合によっては同一切片をin situ hybridization法や免疫染色などの発現解析に用いる。 メチル化の解析はまずCpG islandを含む領域を効率よく増幅するプライマーを設計する。さらに市販のキットを用いメチル化しているシトシンを同定する。この時12個以上のクローンのシーケンシングを行い、変換効率の違いによる誤差を可及的に減らす。
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Research Products
(7 results)