2011 Fiscal Year Research-status Report
組込み接合エレメントCTnPg1による口腔内細菌間での遺伝子伝達
Project/Area Number |
23592704
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
内藤 真理子 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20244072)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 転移性遺伝子 / ゲノム / CTn / 口腔細菌 / 歯周病 |
Research Abstract |
我々は歯周病細菌Porphyromonas gingivalis ATCC33277株のゲノムからConjugative transposon (CTn) CTnPg1をみいだした。このCTnは大規模なゲノム構造の組換え箇所に見出されることをこれまでに明らかにしてきた。本年度はさらにCTnPgh1について解析を行い次の点を明らかにした。1)CTnPg1はP. gingivalis菌株間のみならず他菌種、Bacteroides thetaiotaomicron, Prevotella oralisに伝達する。またこの伝達は自身の持つインテグレース遺伝子と受容菌のrecA遺伝子に依存している。2)受容菌の染色体中の配列、挿入配列"TTTTCnnnnAAAA"に特異的に挿入される。3)現在全ゲノム配列の解析が進行中の口腔内嫌気性細菌、Porphyromonas endodontalis, Prevotella buccae, Prevotella intermedia のゲノム中にCTnPg1類似 CTnが存在する。これらの結果をまとめた論文をMicrobiology誌に投稿、受理され出版することができた。個々のCTnPg1類似のCTnとCTnPg1を比較するとaccessory 遺伝子の領域に多様性が認められ、それぞれ異なるtransporter遺伝子を持っていることを明らかにした。さらにCTnPg1のもつaccessory遺伝子の一つであるtransporter遺伝子(PGN0081)の発現をタイリングアレイを用いて解析した。CTnPg1のaccessory 遺伝子領域に存在するtransporter遺伝子は染色体の他の領域に存在する同種の遺伝子よりも2.5-6倍のmRNAを発現していた。また更なる解析の為にPGN0081遺伝子の変異株を作成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由)Microbiology誌への論文の投稿、査読に際し、いくつかの追加実験が要求されたため、時間的に当初予定の実験の一部をおこなうことができなかった。が一方でH25年度予定のCCTnPg1類似のCTnの探索においては、当初予想してたよりより多くのCTnを同定できた。そこで実験全体を考えるとおおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
CTnPg1転移株の遺伝子発現、表面構造の解析を行う。またCTnPg1中のtransporter遺伝子の役割を解析するために、変異株の作成を行う。またこれらのCTnPg1転移株、作成した変異株を用いてその病原性の変化をマウスを用いた動物s実験にて観察する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
変異株作成、CTnPg1転移株の解析といった実験に欠かせない培地類の作成と嫌気性培養装置の可動に必要なガス、キャタリストの購入を予定している。また病原性の変化を調べるための膿瘍形成実験のためにマウスの購入を計画している。
|