2013 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌による顎骨浸潤モデルの確立とNFーκB阻害剤による顎骨浸潤抑制効果の検討
Project/Area Number |
23592707
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
松尾 拡 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (70238971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
自見 英治郎 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (40276598)
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Keywords | 口腔癌 / 顎骨浸潤 / NF-κB |
Research Abstract |
転写因子NF-κBは口腔扁平上皮癌を含む様々な癌組織において恒常的に活性化されることが知られており、NF-κBの恒常的な活性化は腫瘍細胞の増殖、抗アポトーシス活性や細胞外基質の分解活性に関わると考えられている。しかしながら、口腔癌による顎骨浸潤にNF-κBの活性化がどの様に関与しているか不明な点が多い。そこで我々は口腔癌による顎骨浸潤におけるNF-κBの役割について検討した。顎骨浸潤を伴う口腔扁平上皮癌患者10名の病理組織切片を用いてNF-κBのメインサブユニットであるp65の発現と核移行を検討したところ、癌組織では正常な扁平上皮組織と比較してp65の発現上昇と核移行が認められた。さらにp65の活性型であるリン酸化p65は癌細胞のみならず、腫瘍に隣接するストローマ細胞および活発に骨を吸収している破骨細胞でも発現が確認された。次にマウス口腔扁平上皮癌細胞株SCCVII細胞をC3H/HeNマウス下顎角部より接種するとμCT撮影により、3週間後には著明な頬骨弓および下顎骨の破壊が確認された。そこで、SCCVII細胞接種1週間後からNF-κBの選択的阻害剤NBDペプチドを1匹当たり100μg、週3回、3週間投与したところ、頬骨弓と下顎骨の破壊は抑制された。さらに組織学的解析により、NBDペプチドを投与するとSCCVII細胞および宿主ストローマ細胞のRANKL 発現を抑制することにより、破骨細胞形成が抑制された。またNBDペプチド投与群では腫瘍細胞の増殖が抑制されるだけでなく、アポトーシスの誘導が認められた。以上の結果より、NF-κBの選択的阻害剤は、口腔扁平上皮癌による顎骨浸潤を効果的に抑制する可能性が考えられた。
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Research Products
(7 results)