2011 Fiscal Year Research-status Report
下顎骨骨化点の初期石灰化における神経性調節機構の解明
Project/Area Number |
23592708
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
小林 繁 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (10118078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 哲哉 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (70253458)
片岡 真司 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (80364149)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 骨芽細胞 / 神経 / 間葉系幹細胞 / iPS細胞 / 細胞分化 / 神経ペプチド |
Research Abstract |
当初の実験計画ではマウスの胎児を経時的に取り出して下顎骨の骨化点と神経の分布について免疫組織学的手法で調べる予定であったが、予定よりも早くマウスiPS細胞が使える様になったのでマウスiPS細胞を使った実験を本年度は行った。マウスiPS細胞は理化学研究所より供与された。本年度はまずiPS細胞から骨芽細胞に分化させる手法の確立を目指すとともに、骨芽細胞分化、増殖に促進的に働くと報告されているレチノイン酸を用いて骨芽細胞への分化誘導を行った。また、一部細胞においては交感神経から分泌されるbeta-adrenalineの影響を調べた。実験はまずマウスiPS細胞をマウスフィーダー細胞(SL10)上に播種し、胚様体分化メディウムで3日間培養し胚様体を形成させた。浮遊状態の胚様体に液性因子のレチノイン酸を添加し2日間培養して、mRNAを抽出し、RT-PCRにより骨芽細胞マーカーであるRunx2の発現を調べた。その結果、レチノイン酸無添加群、レチノイン酸添加群(10-6 M, 10-8 M)では10-8 Mのレチノイン酸を加えた時がRunx2の発現上昇が最も高かった。また、beta-adrenalineの添加では骨形成の増加が認められたが、現在追加実験を進行中である。これらの結果によりiPS細胞から骨芽細胞分化にはレチノイン酸添加が有効であり、交感神経から出されるbeta-adrenalineは骨芽細胞分化を促進する事が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最初の計画ではマウス胎児を使って下顎骨の骨化点と神経の関係を明らかにする予定であったが、マウスiPS細胞が予定より早く入手できたので、iPS細胞を使った実験をするように計画を変更した。変更した本年度の計画ではiPS細胞から骨芽細胞に分化させて骨を形成させる実験系を確立させ、その系における神経ペプチドのレセプターの発現と神経ペプチドの影響を調べる予定であった。現在、iPS細胞から骨芽細胞に分化する系は確立できたが、その系に対する神経ペプチドレセプターの発現や、神経ペプチドの影響についてはまだ始まったばかりで、今後の継続的な実験が必要とされる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、iPS細胞から骨芽細胞に分化させる系を用いて知覚神経、自律神経由来の神経ペプチドのレセプターの発現とそれらの神経ペプチドの影響について調べていく。ある程度in vitroでの結果が得られたらその結果に基づいて当初の実験計画にあったマウス胎児の下顎骨の骨化点における神経および神経ペプチドの影響について調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、平成23年度に購入したリアルタイムPCR装置を使って遺伝子発現を調べていく。そのためには、iPS細胞を維持および分化させる、専用培養液が必要であり、mRNA抽出試薬ならびにリアルタイムPCR用のプライマーもしくはプローブが必要である。これらの実験を進めつつin vivoでは妊娠マウスを購入しマウス胎児を得て、下顎骨骨化点における神経線維や神経ペプチドの分布を調べる実験を行うので、妊娠ラット購入、免疫組織化学用に抗体および発色2次抗体の購入に研究費を使用する計画である。
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