2012 Fiscal Year Research-status Report
下顎骨骨化点の初期石灰化における神経性調節機構の解明
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23592708
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
小林 繁 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (10118078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 哲哉 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (70253458)
片岡 真司 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (80364149)
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Keywords | 骨芽細胞 / 神経 / iPS細胞 / 細胞分化 / 神経ペプチド / ヘモキニン |
Research Abstract |
昨年度に引き続きマウスiPS細胞を使った実験を中心に実験を進めた。マウスiPS細胞は理化学研究所より供与された細胞を使って一定の成果得られていたが、期待する最終段階の石灰化の点で十分な成果があげられなかったので、iPS細胞をマウス歯根膜由来のiPS細胞に変え、培養に用いる血清の種類も数種類試して確実に硬組織を形成する条件の検索に前半の大分を費やした。結果、マウスiPS細胞より確実に骨芽細胞へ分化させて硬組織を形成することのできる培養条件を確定できた。現在、当初の目的である神経の骨芽細胞分化への影響を調べるために、神経ペプチドのレセプターの発現をRT-PCR法により検索を行っている。今までの所、神経ペプチドのサブスタンスPのレセプターであるニューロキニン1レセプターが骨芽細胞分化の最終段階で初めて発現する事を確認した。 また、iPS細胞を使った実験以外では神経ペプチドのサブスタンスPなどをが属するタキキニンファミリーの一つであるヘモキニンについて骨代謝への影響を調べた。その結果、ヘモキニンはサブスタンスPと共通のレセプターであるニューロキニン1レセプターと結合し、神経以外の細胞、例えば骨細胞からも放出される事が明らかとなった。また、培養破骨細胞を使った実験ではヘモキニンはレセプターの競合阻害によりサブスタンスPの破骨細胞の分化や骨吸収能を阻害することが明らかとなった。また、ヘモキニンは骨芽細胞に対してもサブスタンスPと競合することにより骨形成を阻害する事が明らかとなった。つまり、ヘモキニンは神経から放出されるサブスタンスPの末梢組織での調節因子であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年同様、組織を使った実験を後で行うことにしてiPS細胞を使う実験を優先的に進めて来たが、当初使っていたiPS細胞では十分な結果が得られなかったために、本年度途中で、別のiPS細胞や培養条件で進めなくてはいけなくなったために、大幅な実験計画の遅れになってしまった。しかしながら、iPS細胞の骨芽細胞分化への最適条件が判明したためにそれからは順調に実験が進んでいる。また、in vivoの実験では顎骨発生段階の組織を使った実験には到達していないが、研究途中であった神経ペプチド、ヘモキニンについての実験がほぼ完了したため、これから、当初の計画の顎骨発生時の組織を使った実験に進む事ができるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はこの研究課題の最終年度になるために、iPS細胞を使った実験では当初の計画どおりiPS細胞から骨芽細胞に分化する段階における神経ペプチドのの受容体の発現を調べ、実際にその発現する受容体を介して骨芽細胞分化に神経ペプチドがどのように関与しているかを調べる。また、顎骨発生時の組織についてもiPS細胞の実験で関与が予想される神経ペプチドに対し、in situ hybridization法等もしくは免疫染色法を使って実際に生体でどの神経ペプチドが顎骨発生に関わっているかを調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、培養細胞使った実験についてはRT-PCR法およびリアルタイムPCR法を用いて遺伝子発現を調べていく。そのためには昨年同様、専用の培養液や、mRNA抽出試薬ならびにPCR用のプライマーならびにプローブが必要である。また、顎骨の骨化点における神経の関与を調べるためには妊娠マウスを購入してマウス胎児を得て、組織切片を得る必要がある。そのために、妊娠ラットの購入、in situ hybridization試薬、免疫染色用試薬に研究費を使用する計画である。
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