2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592710
|
Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
天野 修 明海大学, 歯学部, 教授 (60193025)
|
Keywords | メッケル軟骨 / アポトーシス / 器官培養 / マウス |
Research Abstract |
メッケル軟骨の発生から消失までの過程におけるアポトーシスの出現の時期と局在を組織化学的に検索し,さらに器官培養系を用いた実験により,アポトーシスの役割を解明した. 胎齢12.0日齢(E12.0)のオトガイ孔予定域では,メッケル軟骨に分化する間葉凝集の周囲に多数のアポトーシスが見られた. E14.0の前方・中間部では,メッケル軟骨の下外側部の軟骨膜に多数のアポトーシスが見られた.E15.0の前方部では,外側の軟骨膜にアポトーシスが見られた.中間部では,軟骨小腔の拡大が認められたが,軟骨膜にはアポトーシスは見られなかった.E16.0の中間部では,軟骨の肥大や基質の破壊が進み,より多くのアポトーシスが周囲の骨形成部に見られたが,メッケル軟骨と軟骨膜にはアポトーシスは見られなかった.新生仔(P0)の中間部および後方部では軟骨基質もほとんどなくなり,アポトーシスはほとんど見られなかった. マウス胎仔下顎の器官培養系を用いてZ-VAD-fmkを投与した実験群では,メッケル軟骨の軟骨膜にはアポトーシスは見られず,前方部,中間部の欠損および異所性の腺様組織が認められた.対照群ではメッケル軟骨周囲にアポトーシスが見られ,メッケル軟骨の形も正常であった. 以上の結果より,アポトーシスは軟骨膜における軟骨芽細胞の分化と不要な組織の除去に関わり,メッケル軟骨の正常な形態形成に必須であることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞死の典型的なタイプであるアポトーシスについては充分なデータが得られたが,オートファジーについては現在のところ,解析途中である。オートファジーの検出に利用する抗体が,現在の固定法で良好な染色結果が得られず,陽性と陰性の判定の困難な細胞が多かったため,固定法を変更してようやく解析可能な染色結果が得られるようになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
A) オートファジー検出に関する実験:初年度に引き続いて行う。さらにHIFのシグナル伝達に関係する因子についても解析対象を追加する。 初年度に免疫組織化学で陽性が得られた因子について,in situ hybridization及びRT-PCR法による解析を行う。 B) 器官培養実験(1 微小手術):メッケル軟骨の全摘および部分切除に対する下顎骨および舌形成に対する影響を組織学的に解析する。 C) 器官培養実験:マウスメッケル軟骨はおよそ胎齢14日で完成するので,胎齢14日の蛍光マウスの胎仔のメッケル軟骨を全摘して周囲の軟骨膜を除去し,通常マウスの下顎から同様にメッケル軟骨を全摘した後に,蛍光マウスの軟骨を移植して,その後は器官培養を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定通り,組織化学系の試薬,実験動物,組織写真解析に充てる。また,現在までのデータについての発表を海外での国際学会で行う予定で,それにも充てる予定である。
|