2011 Fiscal Year Research-status Report
唾液腺の加齢変化に伴うPACAP、PACAPレセプターの局在と分泌制御機構の解明
Project/Area Number |
23592711
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
野中 直子 昭和大学, 歯学部, 講師 (20307052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 雅典 昭和大学, 歯学部, 教授 (50180394)
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 教授 (80102375)
中町 智哉 昭和大学, 遺伝子組換え実験室, 助教 (30433840)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ドライマウス / PACAP / PACAPレセプター / 耳下腺 / 顎下腺 / 舌下腺 / 免疫染色 / 経鼻投与 |
Research Abstract |
唾液分泌の制御は,主に自律神経支配のもとで行われる.下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)は,ヒツジの視床下部から単離,構造決定された神経ペプチドで,多数の生理機能を持つ神経ペプチドで種々の組織に認められている.また血管作動性腸管ペプチド(VIP)もPACAPに類似した神経ペプチドで,血管拡張作用や腸液分泌刺激作用などがある.本研究では,8週齢C57BL/6マウス(♂)の大唾液腺(耳下腺,顎下腺,舌下腺)を採取し,PACAPおよびPACAPレセプター(PAC1R)とVIPレセプター(VPAC1)の局在について免疫組織学的検討を行った.PAC1Rの局在は,耳下腺においては線条部導管に,顎下腺では顆粒性導管にあるpillar cellと線条部導管に,舌下腺では線条部導管に強い免疫反応が認められた.VPAC1では,耳下腺では線条部導管に,特に導管内側面に強い免疫反応が認められた.顎下腺では顆粒性導管にあるpillar cellと線条部導管に,舌下腺では線条部導管に強い免疫反応が認められた.大唾液腺でPAC1RとVPAC1の局在には変化が見られなかった.局在が明らかになったので,PACAPおよびVIPの経鼻投与を行った結果,コントロール(生理食塩水)に比べてPACAP投与後60分で優位な唾液分泌量の亢進が認められた.この結果は,ドライマウスの治療薬,治療方法に向けての臨床応用展開への基礎研究となると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
8週齢C57BL/6 mice(♂)を使用. マウスの耳下腺, 顎下腺, 舌下腺におけるPACAPおよびPAC1RとVPAC1の発現部位に関する組織学的、免疫組織学的検討した.PAC1Rの局在は,耳下腺においては線条部導管に,顎下腺では顆粒性導管にあるpillar cellと線条部導管に,舌下腺では線条部導管に強い免疫反応が認められた.VPAC1では,耳下腺では線条部導管に,特に導管内側面に強い免疫反応が認められた.顎下腺では顆粒性導管にあるpillar cellと線条部導管に,舌下腺では線条部導管に強い免疫反応が認められた.大唾液腺でPAC1RとVPAC1の局在には変化が見られなかった.局在が明らかになったので、PACAPとVIPの経鼻投与を行い,唾液分泌量の測定が出来た.また症例数は少ないが,ご遺体から採取した耳下腺,顎下腺,舌下腺についても免疫染色をも行うことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
8か月齢C57BL/6 mice(♂)と疾患モデルマウス[シェーグレンモデルマウス(MRLlpr/lpr),早老症モデルマウス(SAMP)ならびにPACAP-KOマウス]を使用し,平成23年度と同様の研究方法でPACAP,PAC1R,VPAC1の免疫染色とPACAP,VIPの経鼻投与を行い8週齢のそれらのデータと比較し,検討したい.また胎児期(16日,18日),生後0,7,14,21日のC57BL/6 miceでもPACAP,PAC1R,VPAC1の免疫染色を行い,発現段階を確認していきたい.唾液成分の生化学的解析については,唾液の無機成分並びに有機成分の動態について全反射吸収赤外分光法(ATR-FTIR),ELISA法等を用いて解析を行いたい.解剖実習ご遺体から耳下腺,顎下腺,舌下腺を採取し,各唾液腺の構造ならびにPAC1Rの局在を検討する際は, ご遺体の年齢, 性別, 更に有歯顎・無歯顎に分けて検討していく方向である. なお,症例数を増やすために, これからも続けて検討していきたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)C57BL/6 mice(♂),疾患モデルマウス[シェーグレンモデルマウス(MRLlpr/lpr),早老症モデルマウス(SAMP)ならびにPACAP-KOマウス]の購入.(2)PACAP,VIPの購入(3)PAC1R,VPAC1のレセプターの購入.(4)免疫染色に必要なものの購入.(5)経鼻投与に必要なものの購入.(6)学会発表への旅費など 以上を使用計画としている.
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Research Products
(3 results)