2012 Fiscal Year Research-status Report
唾液腺の加齢変化に伴うPACAP、PACAPレセプターの局在と分泌制御機構の解明
Project/Area Number |
23592711
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
野中 直子 昭和大学, 歯学部, 講師 (20307052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 雅典 昭和大学, 歯学部, 教授 (50180394)
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 教授 (80102375)
中町 智哉 昭和大学, 遺伝子組み換え実験室, 助教 (30433840)
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Keywords | ドライマウス / 耳下腺 / 顎下腺 / 舌下腺 / PACAP / PACAPレセプター / 経鼻投与 / 免疫染色 |
Research Abstract |
8週齢と8か月齢のC57BL/6マウス(♂)から耳下腺,顎下腺,舌下腺を採取し,PACAPレセプター(PAC1R)の局在について免疫組織学的検討を行った.8週齢と8か月齢ともに,耳下腺ではPAC1Rは線条部導管に,顎下腺では顆粒性導管内にある細胞(pillar cell)に,舌下腺では線条部導管に認められた.また,8か月齢の舌下腺線条部導管に顆粒を有する細胞の出現が認められた.更に,8か月齢の顎下腺では,実質内に著しいリンパ球浸潤が認められた. 8週齢と8か月齢の三大唾液腺で比較した結果,PAC1Rの免疫局在には加齢に伴う明確な違いは見られなかった.顎下腺におけるリンパ球浸潤の解析ならびに,舌下腺線条部導管での顆粒を有する細胞の機能の解析は,加齢に伴う唾液腺の機能変化を知る上で有益となることが考えられる. 加齢や疾患に伴うPAC1Rの局在変化, ならびにPACAPによる唾液分泌量の変化は未だ不明である. 更に, このようなマウスにおける所見がヒト唾液腺においても同様に認められるかについても不明のままである. 違いを明確にすることは唾液腺の機能について重要な情報となる. またPACAPを経鼻投与することで唾液量の亢進が確認できれば, ドライマウス治療薬としてはPACAPが有効で, その治療方法として経鼻投与法が効果的ということが確実になる. このことはドライマウス患者にとって, PACAPの経鼻投与法は簡便で適切な投与方法となり, PACAPを用いた新しいドライマウス治療法となるに違いない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところ, 若齢および高齢マウスの唾液腺(耳下腺,顎下腺,舌下腺)において, PAC1の局在が確認できている. 局在が明らかになったので, PACAP溶液を若齢マウスに経鼻投与を行った結果, コントロール(生理食塩水)に比べて優位な唾液分泌量の亢進が認められた. この結果は, ドライマウスの治療薬, 治療方法に向けての臨床応用展開への基礎研究となると考え, 現在までの目標はほぼ達成されていると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
疾患モデルマウスを用いて,PAC1の局在の確認をし,若齢および高齢マウスの局在と比較検討を行う. PACAP鼻腔投与法による唾液分泌量の測定では,マウスの唾液量と性状解析を行うため,唾液分泌量の解析としてシルマーテストを用いて唾液分泌量を経時的に定量する. また高齢マウスで確認されている,顎下腺におけるリンパ球浸潤の解析ならびに,舌下腺線条部導管での顆粒を有する細胞の機能の解析を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
抗体,試薬を主に物品の購入,マウスの購入・飼育(若齢、高齢、疾患モデルマウス),論文作成のための費用,また国内・国外の学会で広く結果を発表するための旅費などにあてる.
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Research Products
(5 results)