2011 Fiscal Year Research-status Report
歯肉付着上皮細胞におけるタイト結合構成タンパク質とバリア機構
Project/Area Number |
23592713
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
橋本 貞充 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (10201708)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 歯周組織 / 付着上皮 / 上皮性付着 / 口腔上皮 / タイト結合 / 細胞骨格 / 細胞接着 / フリーズフラクチャーレプリカ |
Research Abstract |
本研究は、歯周組織の恒常性維持に重要な役割を果たしている付着上皮について、付着上皮細胞のタイト結合におけるバリア機構の調節と細胞極性の維持に、タイト結合とそれを裏打ちするアクチンフィラメント細胞骨格がどのような役割を果たしているか、そしてタイト結合構成タンパク質を介して細胞膜直下の細胞質で起こる細胞内情報伝達機構を解明することを目的としている。 研究項目としては、1)新鮮組織を用いた急速凍結ディープエッチング・フリーズフラクチャーレプリカ法によるタイト結合構成タンパク質と細胞膜直下のアクチン細胞骨格、サイトケラチン細胞骨格の超微構造の三次元解析、 2)分光共焦点レーザー顕微鏡によるタイト結合構成タンパク質の局在変化の観察、 3)気相培養による口腔粘膜上皮培養シートを用いたLPS 刺激によるタイト結合の透過性変化のタイムラプス解析、を3年の研究期間で行なうことを計画している。 本年度は、1)タイト結合とアクチン細胞骨格の構造解析として、付着上皮および口腔粘膜上皮におけるタイト結合構成タンパク質のZO、Occludin、Claudinの発現を、SD系ラット歯肉の凍結切片による免疫蛍光染色により、共焦点レーザーレーザー顕微鏡を用いて検討している。また、2)急速凍結固定によるディープエッチング・フリーズフラクチャーレプリカ電顕観察のために、岡崎国立共同研究機構・生理学研究所において、ラット上顎臼歯部歯肉を切離後、金属圧着急速凍結固定装置により、未固定新鮮組織の液体ヘリウム急速凍結固定を行い、レプリカ作成を行なっている。さらに、3)エナメル質表面に付着する付着上皮細胞の最表層細胞、DAT 細胞(cells directly attached to the tooth)の動態を検証するために、抜去歯をKarnovsky固定液に浸漬後、低真空SEMによる観察を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究進捗状況としては、1)付着上皮および口腔粘膜上皮におけるタイト結合構成タンパク質の局在については、ZO、Occludin、Claudinの発現を、SD系ラット歯肉の凍結切片による免疫蛍光染色により、共焦点レーザーレーザー顕微鏡を用いて検討しており、いくつかの結果が得られている。2)急速凍結固定によるディープエッチング・フリーズフラクチャーレプリカ電顕観察については、岡崎国立共同研究機構・生理学研究所において共同研究を行っているが、研究日数が限られており、現在は適切なレプリカ作成のための条件設定を試行錯誤している状況である。3)エナメル質表面に付着する付着上皮細胞の最表層細胞、DAT 細胞(cells directly attached to the tooth)の観察では、抜去歯をKarnovsky固定液に浸漬後、オスミウムマセレーション法を行なうことで、細胞骨格を低真空SEMにより観察することを試みており、いくつかのデータが出るようになって来ている。 付着上皮がエナメル質表面に付着する構造をできるだけ維持して観察する必要があることから、構造維持のための条件設定を試行する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的な研究計画については大きな変更は必要ないものと思われ、現在行なっている、タイト結合構成タンパク質の免疫蛍光染色による観察、フリーズフラクチャーレプリカ電顕観察、DAT 細胞のSEM観察を継続することに加え、免疫電顕による検討と共に、Bio Link社より提供される口腔粘膜上皮培養シートを用いたタイト結合構成タンパク質の局在観察のための準備を行なうことを考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費については、タイト結合に対する特異抗体、および、種々の標識抗体等の購入、実験に用いるSDラットの購入、凍結用の液体ヘリウム、口腔粘膜上皮培養シート、を中心に薬品および実験用の用品の購入にあてると共に、岡崎国立共同研究機構・生理学研究所への出張費用、学会発表にともなう出張費用に使用する予定である。
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