2013 Fiscal Year Annual Research Report
唾液分泌障害に対する唾液腺再生医療の確立:歯髄細胞を用いた血管再生へのアプローチ
Project/Area Number |
23592719
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
山田 浩之 鶴見大学, 歯学部, 講師 (90267542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 一郎 鶴見大学, 歯学部, 教授 (60147634)
美島 健二 昭和大学, 歯学部, 教授 (50275343)
濱田 良樹 鶴見大学, 歯学部, 教授 (70247336)
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Keywords | 唾液腺の再生 / 血管再生 / 歯髄細胞 |
Research Abstract |
【目的】放射線治療で生じた虚血部への血管形成能を有する細胞移入は、組織の血管新生を促すことにより、唾液分泌障害を治療できる可能性がある。そこで、血管内皮細胞の供給源としての歯髄細胞の有用性を検討する。 【方法】生後3週齢、C57BL/6J雄性マウスから臼歯歯髄組織を採取し、αMEMを用いて細胞培養を行った。EBM-2培地にて血管内皮細胞に歯髄細胞の分化誘導を試み、血管内皮細胞関連マーカーの発現についてRT-PCRにより検討した。次に、分化誘導を試みた歯髄細胞をMatrigelでコートしたディッシュ上に播種し、管様構造形成の有無を確認した。さらに、これらの細胞をMatrigelに懸濁しヌードマウスの皮下に移入して、管様構造の形成能について検討した。また、放射線照射による唾液分泌障害マウスにこの細胞を移入する治療実験を行った。 【結果】RT-PCRによる解析では、歯髄細胞は、血管内皮細胞への分化誘導後、血管内皮細胞関連マーカーであるVEGFA, CD31, Flk1, VE-cadherin, およびvWF遺伝子を発現していた。加えて、これらの細胞は、Matrigel上に播種すると、管様構造を形成し、ヌードマウスの皮下に移入しても管様構造を形成できた。さらに、放射線照射による唾液分泌障害マウスにこの細胞を移入すると、放射線照射8週後の平均唾液分泌量が、コントロール群と比較して有意に高い値を示した。 【結語】本研究により、マウス歯髄細胞には血管内皮細胞への分化能を有する細胞が含まれていることが示唆された。また、血管内皮細胞へ分化誘導した歯髄細胞は、放射線照射による唾液分泌障害マウスに対する細胞移入療法の有用な細胞ソースであることが示された。
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