2013 Fiscal Year Annual Research Report
共用ベクターを用いた難培養性口腔嫌気性菌への遺伝子導入・発現系の開発
Project/Area Number |
23592722
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
西川 清 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (50340146)
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Keywords | 歯周病原細菌 / タンネレラ・フォーサイシア / ポルフィロモナス・ジンジバリス / 遺伝子導入 / 遺伝子破壊 / 自然形質転換 / クロラムフェニコール耐性 / 共用ベクター |
Research Abstract |
主要な歯周病原細菌タンネレラ・フォーサイシア(Tf菌)とポルフィロモナス・ジンジバリス(Pg菌)両菌種において機能する共用ベクターの構築を進め、そのプロトタイプとなるpEPT1exを作製した。このベクターはPg菌では良好に機能し、病原因子の発現調節に関わるセンサー遺伝子fimSの変異株ライブラリー作製に応用できた。 一方Tf菌では薬剤耐性遺伝子tetQが機能せず、ベクター導入株の共通選択マーカーとしてテトラサイクリンが使えないことが判明した。そこで別の薬剤耐性マーカーとしてクロラムフェニコール(CP)に着目し、その耐性遺伝子CATと発現制御配列を連結した新規薬剤耐性カセットpermF-CATを開発した。permF-CAT単体でのTf菌における機能性を検証するため、前年度までに確立した自然形質転換法による遺伝子破壊株作製への応用を試み、成功した。この実験で、Tf菌バイオフィルムの持つDNA取り込み能力がcomF遺伝子に依存していることが明らかになった。 次にpEPT1exベクターのtetQ部分をpermF-CATに置換したpEPT1exCATを構築した。Tf菌への導入を試みたところ、自然形質転換法ではCP耐性株が得られず、電気穿孔法でようやく導入自体には成功したかに見えた。しかし本ベクターはTf菌内に入ると意図しない大幅な構造変化を来し、得られた耐性株から導入したはずのプラスミドが回収できなかった。つまりTf菌でプラスミドを保持させることは困難であることが示唆された。 以上の知見を総合し、両菌種で共通遺伝子の導入・発現に便利な「共用ベクター」として機能させるには、Pg菌では従来通りプラスミドとして保持される一方、Tf菌では必要部分のみがゲノムの特定領域に組込まれるように設計変更する必要があるとの結論に至った。その設計は既に終了しており、当初目的は達成できる見込みである。
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