2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592726
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
畠山 雄次 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (40302161)
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Keywords | アメロジェニン |
Research Abstract |
近年、アメロジェニンは細胞内小胞膜の膜結合型受容体LAMP-1および LAMP-3に結合することが報告された。本研究課題は軟骨細胞分化におけるアメロジェニンのシグナル伝達は間葉細胞膜表面に発現するLAMP- 1およびLAMP-3に結合することにより行われる可能性を検討するものである。 この目的のために、in vitroにおける軟骨形成過程におけるアメロジェニン、LAMP-1およびLAMP-3の局在を免疫組織学的に検討した。その結果、LAMP-1抗体に対する免疫反応は増殖軟骨細胞に相当する細胞において陽性反応を示したが、肥大軟骨細胞に相当する細胞では弱い反応を示した。一方、LAMP-3抗体に対する免疫反応は増殖および肥大軟骨細胞のいずれに相当する細胞においても弱い反応を示した。さらにこの軟骨形成過程において、培養24時間から48時間に軟骨分化マーカー遺伝子の発現上昇がみられたが、LAMP-1の遺伝子発現は減少した。また細胞組織分化とLAMP-1およびLAMP-3の発現変化の傍証として、歯周組織分化とLAMP-1およびLAMP-3の免疫局在について検討した。その結果、歯周組織ではLAMP-3抗体に対する免疫反応は歯周組織の成長分化とともに減少することが見いだされた。 さらにアメロジェニンを主成分とするエムドゲイン(EMD)を用いて、軟骨細胞の細胞増殖におけるLAMPsの役割を検討した。その結果、EMDを細胞培養プレートにコーティングをして、マウス軟骨細胞株ATDC5を軟骨細胞分化培地で培養した場合、EMDをコーティングしなかった群と比較して細胞増殖を抑制した。しかしLAMP-1抗体を添加して培養した場合、EMDをコーティングしなかった群と細胞増殖に有意な差は認められなかった。これらのことは、LAMP-1はアメロジェニンによる軟骨細胞増殖に関与することを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、軟骨細胞分化におけるアメロジェニンのシグナル伝達は間葉細胞膜表面に発現するLAMP-1または LAMP-3に結合することにより行われる可能性を検討するものである。リガンドであるアメロジェニンは、アメロジェニンのスプライシングアイソフォームであるLRAPのリコンビナントタンパクを用いる。この目的のために、 ①リコンビナントLRAPの作成。 ②軟骨形成過程におけるLAMP-1およびLAMP-3の発現プロファイルを明らかにする。 ③細胞膜のCD63およびLAMP-1による軟骨形成における役割の検討。 の上記3点について今年度に検討を行った。①および③の検討のために計画していたLRAPの作成はF-moc固相法によるペプチド合成を企業に外注することにより前年度に完了している。さらに作成方法の違いによるLRAPの作用の違いを考慮するために、大腸菌によるマウスリコンビナントLRAP作成を行った。このために発現ベクターを大腸菌に組込み、現在、タンパクを抽出中である。また②の課題である軟骨細胞分化の評価として、マウス肢芽より得られた間葉細胞を用いた in vitro の軟骨形成過程において軟骨細胞分化のマーカーであるSox9および II 型コラーゲンと、LAMP-1およびLAMP-3の遺伝子発現を解析した。さらにこの形成過程におけるLAMP-1の発現を免疫組織学的に検討した。これらの結果は研究結果の概要に示し、現在論文を投稿中である。さらに③の課題の検討のために、軟骨前駆細胞株ATDC5のLAMP-1およびLAMP-3が細胞膜表面に発現していることを免疫組織学的に明らかにし、EMDによる細胞増殖は細胞膜表面のLAMP-1が関与することを示した。これらのことから本研究の目的の達成度はおおむね順調に伸展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終目標は、LRAPによる間葉細胞から軟骨細胞分化促進は、LRAPが間葉細胞膜表面に存在するLAMP-1およびCD63に結合し細胞膜陥没構造が形成され、細胞内に取り込まれたLRAPが細胞内小胞により輸送されることにより引き起こされる、という仮説の検討である。そのために今後の研究目標として、LRAPの軟骨形成におけるCD63およびLAMP-1機能的遺伝子発現抑制の検討をおこなう。また引き続き細胞膜のCD63およびLAMP-1における軟骨形成における役割の検討をおこなう。いずれの検討においても胎生10日齢マウス肢芽より 間葉細胞を得て、高密度培養法(マイクロマスカルチャー法)によりin vitroにおける軟骨形成モデルを用いる。これらのモデルにおいて作成方法の異なるLRAPを添加し、機能的遺伝子発現抑制はRNAiを利用する。また細胞膜のCD63およびLAMP-1における軟骨形成の役割の検討では中和抗体を利用してそれぞれ検討を行う。軟骨細胞分化の評価はいずれの検討においても軟骨細胞分化マーカーであるSox9、II 型および X 型コ ラーゲンの発現をRT-PCR、ノーザンブロット法、in situ hybridization法、免役染色(電子顕微鏡による観察を含む)およびウェスタンブロット法によりおこなう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究ではマウス肢芽由来間葉細胞を用いた研究をおこなうため、実験動物購入費用が必要である。また均一の細胞群における細胞動態を検討するために細胞株購入費が必要である。さらに軟骨細胞分化解析には遺伝子発現およびタンパク発現の観察が必要である。これらの観察はRT-PCR、ノーザンブロット法、ウェスタンブロット法、組織化学染色、免疫染色(電子顕微鏡による観察を含む)および in situ hybridization法により行うため、これらの関連試薬およびRN Aプローブ作成費用、または抗体の作成および購入費用として使用する。また大腸菌によるリコンビナントタンパク作成のために試薬が必要である。さらに、研究成果発表のために、英文校閲および論文投稿に研究費を使用する。
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