2012 Fiscal Year Research-status Report
疾患責任遺伝子産物TMEM16Eタンパクの安定化による疾患オンセット機構の解明
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23592734
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
飛梅 圭 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 准教授 (40350037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水田 邦子 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (40432679)
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Keywords | 顎骨幹骨異形成症 / 筋ジストロフィー / 疾患責任遺伝子 / 優勢遺伝 / 劣性遺伝 / タンパク安定化 |
Research Abstract |
本研究は、世界に先駆け常染色体優性遺伝疾患顎骨骨幹異形成症(GDD:TMEM16EのC356R あるいはC356G変異により発症)および常染色体劣性遺伝疾患肢帯型筋ジストロフィー(LGMD2L:TMEM16E遺伝子欠損あるいは機能喪失により発症)の責任遺伝子であるTMEM16Eの分子機能および生理的役割を分子細胞生物学的手法により検討し、これら遺伝性疾患発症の分子メカニズムを解明することを目的としている。前年度は類似遺伝子TMEM16Aとの比較検討を行ってきたが、本年度は、TMEM16Eタンパク不安定性を制御する機構について、TMEM16E安定導入細胞をもちいて解析した。 結果 安定導入にもかかわらずタンパク発現レベルが著しく低いTMEM16Eタンパクの不安定性は、1 阻害剤を用いた形跡によりプロテオゾーム依存的であること、2 阻害剤によりPI3K経路が抑制された場合タンパクの安定化が誘導されること、3 タンパク不安定性は化学シャペロン処理により回避できることを発見した。 意義 本遺伝子は遺伝子機能欠損により筋ジストロフィーを発症するため、その機能は筋組織の恒常性維持にある。筋組織においてTMEM16E遺伝子は高発現し、かつTMEM16Eタンパク安定化を受けていることが推測される。上記1-3において得られた結果より、次年度に筋ジストロフィー関連分子の中から標的を絞ってタンパク安定化のメカニズムを担う分子を検索することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TMEM16Eタンパク不安定性はプロテアソーム依存的であること、また安定化はPI3K経路が抑制された場合に認められること、および化学シャペロン処理により誘導できることを発見した。 また、イオンチャンネルポアを形成すると予測されるTMEM16E由来ドメインはTMEM16Aの同ドメイン機能を置換できなかったが、1アミノ酸変異を導入することで、同等の機能を獲得することを発見した。 すなわち野生型TMEM16Eはイオンチャンネルポア形成が不全であることを発見した。 これらの新しい結果を得たことより達成度を上区分と評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
TMEM16Eのプロテオゾーム依存的タンパク不安定性を決定するアミノ酸部位をミュータジェネシスにより特定する。 TMEM16Eに会合する分子シャペロンを同定し、タンパク安定化が誘導されるか否か検討する。 TMEM16Eが局在するオルガネラでの会合する分子を特定することで、分子機能を検索する。 疾患発生責任変異C356R置換がこれらに及ぼす影響を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
会合因子の解析は一部外部業者に発注する予定であるが、全ての研究費は試薬、抗体を購入し研究を遂行する目的に使用する。
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Research Products
(9 results)