2012 Fiscal Year Research-status Report
唾液腺における水チャネルの細胞核移行機序の解明、新機能の探索と新機能による創薬
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23592738
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
石川 康子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (40144985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄野 正行 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 技術職員 (60380101)
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Keywords | 唾液腺 / 水チャネル / 細胞核 / 脂質ラフト / アクアポリン / 耳下線 / 国際情報交流 |
Research Abstract |
1)AQP5が核膜で輸送する水以外の物質の解明-調製したAQP5が核膜に凝集した核、核膜にほとんど無局在核の外液ヘ蛍光又は3H-標識のアデニン、アデノシン、アデニル酸、ウラシル、ウリジン、ウリジル酸、5-フルオロウラシル等を加え低張に保ち、核内の標識化合物の量を測定した。反対に核外溶液を高張にして外液のmRNA,tRNA, UsnRNA,rRNA,pre-miRNA, miRNA量を測定した。ヌクレオポリンの阻害薬・レプトマイシンBの存在下でも測定し、既知のヌクレオポリンによる輸送影響を除外して検討した。さらに、上述標的物質のみならず、AQP5が輸送する更に多くの物質を探索するため、核外液や核ホモジートを二次元電気得移動にかけ、各種抗体を用いて解析した。核内取り込まれる物質は比較的容易だが、核外へ分泌される物質の同定に難攻している。 2)AQP5が核膜上の脂質・ラフトで機能を発揮するのか、 ノンラフトで機能を発揮するのかの解明-ラフトを崩壊させる薬物・Methyl-cyclodextrin, Filipinを核外溶液に添加して1)と同様の実験を行い、ラフト崩壊薬の存在下でも同様の結果がでるか検討した。一方、ラフト崩壊薬で処理した核を2)の方法で免疫染色し、共焦点顕微鏡から解析した。ラフト上で機能していた。 3)AQP5の核移行機序への低分子量GTPase Rab, Ran関与の解明、定常置へ誘導する因子の検索、移動に関与する細胞内情報伝達系の解明-セビメリンを投与した野生型ラットより経時的に唾液腺を摘出し、管腔膜、細胞質、核膜、核質に分画する。各画分のAQP5を免疫沈降法により回収し、SDS-PAGEと各種抗体を用いたウェスタンブロッティング法からAQP5と複合体を形成している分子を解析し、刺激に応答してAQP5を細胞内の各定常置へ誘導する因子と細胞内情報伝達系を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
得られた成果は、第122回日本薬理学会近畿部会にて発表できたので、概ね 順調と思われる。また、Rab5とともに核膜へ集積したAQP5は、ラフト上で浸透圧変化に応答して、昨日しており、前年度に本年度の課題としていた「核膜に集積されたAQP5の意義」も明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
AQP5とヌクレオポリンとの連関性 や AQP5が遺伝子発現に関与しているかについて明確にしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)AQP5が結合するDNAの配列決定およびDNAの領域の決定 野生型マウスへセビメリンを投与し、経時的に唾液腺を摘出し、ホルムアルデヒドで処理してAQP5とDNAをクロスリンクさせた後、核を単離する。超音波処理にてDNAを切断後、抗AQP5抗体を用いてクロマチン免疫沈降を行う。沈降物を脱クロスリンク後、DNAフラグメント末端の修復とPCR増幅後、シークエンサー(Applied社)を用いて配列を決定する。 2)AQP5がDNAと相互作用して発現促進または抑制される遺伝子の解析 Rab5ノックアウトと野生型マウスへセビメリンを投与して12時間後、RNeasyとQIAcube(Qiagen社)を用いてtotalRNAを抽出し、DNAマイクロアレイ(Affymetrix社)に供する。8)のデーターも考慮しながら発現促進または抑制される遺伝子を解析し、リアルタイムPCRで確かめる。 3)AQP5が輸送する更に多くの物質を探索するため、前年度に引き続き前年度計画の1)を検討している。前年度の残額はこれに充てる。 4)データ全体を総括的に検討する。
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