2012 Fiscal Year Research-status Report
免疫監視システム制御に関わる新規シグナル分子機構の解明
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23592741
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松口 徹也 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10303629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 智和 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30244247)
坂東 健二郎 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50347093)
楠山 譲二 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70596105)
柿元 協子 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40274849)
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Keywords | 免疫応答 / 細胞内シグナル伝達 / マクロファージ / TLRシグナル伝達 / フォスファターゼ / インターフェロン / キナーゼ / 紫外線 |
Research Abstract |
免疫応答におけるMKP-Mの機能的役割について、in vitro、およびMKP-MのKOマウスを使ったin vivoの両面に渡って解析を進めた。 1)MKP-M KOマウスの樹立と継代を進めた。形態表現型において、MKP-MのKOマウスは尾の末端部に特異な鉤上の変形を呈し、組織学的解析の結果、変形部位の椎間円板の形成不全を認めた。体幹の椎間円板には形成不全を認めなかったことから、MKP-M遺伝子欠損による椎間円板の形成不全は尾部に限定されることが明らかになった。また、MKP-M KOマウスの脾臓、末梢血、胸腺のリンパ球分画を解析した。CD4、CD8の分画において野生型マウスとの著明な差は見られなかったことから、リンパ球の分化・成熟過程にMKP-Mは必須でないと想定された。 2)野生型およびMKP-M KOマウスにLPSを腹腔内に投与し、血清中のサイトカイン濃度ををELISA法にて計測したところ、野生型と比較して、MKP-M KOマウスにおいて、TNFalpha濃度の軽度の上昇と、IFNgamma濃度の著明な上昇を認めた。また、マウス腹腔マクロファージ(PEC)を単離して、大腸菌由来LPSにて刺激後のサイトカインmRNAレベルを定量的に解析したところ、野生型と比較して、MKP-M KO PECにおいてTNFalpha mRNA上昇の遅延を認めたが、IFNgamma、IL12 p40のmRNAレベルは、軽度の上昇を認めたのみであった。 3)MKP-M KOマウス由来の細胞(胎児性線維芽細胞、T細胞、PEC、骨芽細胞)において、野生型細胞に比べて、JNKタンパク発現レベルの上昇を認めた。興味あることにタンパクレベルの上昇はJNK1よりJNK2でより著明に認めた。 4)TLRシグナルによるケモカイン発現分子機構を解析し、国際誌に発表した。また、免疫応答に関する総説を国際誌に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)研究目的達成のために有用なMKP-MのKOマウスの樹立を行い、形態およびリンパ球分化の両面において表現型の解析を進めた。 2)MKP-M KOマウスにTLR4リガンドであるLPSを投与したところ、Th1反応のサインであるIFNgamma血清濃度が、野生型マウスに比べて著明に増加することを見いだした。これは、当初の予想であるMKP-MのTh2偏位反応における役割に合致した結果であった。 3)MKP-M KOマウス由来の細胞において、野生型細胞に比べてJNK(特にJNK2)のタンパクレベルが上昇していることを見いだした。これはMKP-MのJNKタンパク安定性における新たな役割を示唆するものであり、興味深い結果である。 4)研究業績の国際誌への発表(原著1、総説1)と英語による著書の執筆を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
1)MKP-MのTh1/Th2反応における役割をin vivoで明らかにするために、MKP-M KOマウスへの卵白アルブミン感作実験を行い、抗原特異的免疫グロブリン分画、サイトカイン濃度を測定し、野生型マウスの結果と比較する。 2)MKP-Mの抗腫瘍免疫における役割を明らかにするために、MKP-M KOマウスに腫瘍細胞接種実験を行い、腫瘍増殖速度を野生型マウスと比較する。 3)MKP-M KOマウスにおけるLPS反応性IFNgamma上昇の分子メカニズムを解析するために、フローサイトメトリー、リアルタイムPCR法によって、MKP-M KOマウスにおけるLPS反応性のIFN産生細胞を明らかにする。 4)MKP-MのJNKタンパク安定性における役割を、アデノウィルスによるMKP-M強発現実験により、in vitro解析にて明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験の遂行に必要な機材は既に整っているので、次年度の研究費は、実験用動物および飼料の費用、実験用の試薬類の費用、細胞培養用のシャーレ等のプラスチック器具類の費用、および学会発表および研究打ち合わせのための旅費として使用予定である。
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Research Products
(9 results)