2011 Fiscal Year Research-status Report
基底細胞から味蕾へ:コンディショナル遺伝子改変による分化とターンオーバーの解明
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23592742
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
三浦 裕仁 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80353936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 歩 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10398290)
原田 秀逸 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60128452)
大木 誠 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60596104)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 味覚 / 味蕾 / 細胞分化 |
Research Abstract |
ヒトを含むほ乳類の味蕾では、一生涯、短い周期で細胞が置きかわっている(ターンオーバー)。この味蕾細胞のターンオーバーでは、味蕾周囲で増殖した細胞が増殖を停止して味蕾の基底細胞となり、この基底細胞が伸長して味覚受容機能を有する細胞に分化すると考えられている。しかし、味蕾基底部の細胞の性質は充分には明らかになっていない。私たちは、成熟した味蕾の基底部で細胞増殖・分化因子であるSonic hedgehog (Shh) が発現することを明らかにした。本研究では、このShhを発現する基底細胞で特異的にタモキシフェン誘導型のCreリコンビナーゼを発現するマウスを利用して、味蕾基底細胞特異的に遺伝子組換えを誘導することで、味蕾の細胞系譜と味蕾細胞の分化における味蕾基底細胞の役割の解明を進める。タモキシフェン誘導型のCreリコンビナーゼは、エストロジェン受容体のエストロジェン結合部位とCreリコンビナーゼの融合タンパク質で、タモキシフェンが結合すると活性化される。本年度は、マウスにタモキシフェンを投与して、味蕾の基底細胞で構成的にEGFPを発現する遺伝子組換えを誘導した。EGFPの発現を解析したところ、味蕾を構成する全ての細胞種、すなわち甘味・うま味・苦味の受容を担当するII型細胞、酸味と塩味の受容細胞とされているIII型細胞、そして、グリア細胞の性質を有するI型細胞でEGFPの発現が確認された。また、舌先端側の茸状乳頭、舌基部の有郭乳頭、そして軟口蓋の3箇所、どの部位の味蕾においても、味蕾内にEGFPの発現が確認された。これらの結果は、味蕾基底部のShh発現細胞が味蕾の全ての細胞種に分化することを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、効率的に遺伝子組換えを誘導するタモキシフェンの投与条件を検討し、これまでに成体のマウスでの条件を確立した。また、EGFPが味蕾のどの細胞種にどのくらいの割合で発現するか、口腔内の部位ごとに定量的な解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
EGFPを発現する細胞の定量的解析を終えて論文にまとめる。当初計画どおり、これまでに見いだした遺伝子組換えの誘導の条件をコンディショナルKOマウスに利用して解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今のところ、当初計画通りの研究費の使用を予定している。この使用計画には、組織化学解析を行う試薬の費用、実験動物の費用が含まれる。また、成果発表のための費用として、ISOT (国際嗅覚味覚シンポジウム)に参加するための旅費、論文印刷費が含まれる。
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