2012 Fiscal Year Research-status Report
基底細胞から味蕾へ:コンディショナル遺伝子改変による分化とターンオーバーの解明
Project/Area Number |
23592742
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
三浦 裕仁 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80353936)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 歩 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10398290)
原田 秀逸 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60128452)
大木 誠 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60596104)
|
Keywords | 国際情報交換 / 味覚 / 味蕾 / 細胞分化 |
Research Abstract |
前年度までに、タモキフェン投与によって味蕾基底部のShh発現細胞で誘導したEGFPレポーターの発現に基づき、味蕾基底部Shh発現細胞が、味蕾内の全ての細胞種、すなわち甘味・うま味・苦味の受容を担当するII型細胞、酸味と塩味の受容を担当するとされるIII型細胞、グリア細胞の性質を有するI型細胞に分化することが確認された。本年度は、Shh発現細胞から、味蕾の3つの細胞種がどのような割合で出現するかを、舌の茸状乳頭、有郭乳頭、そして軟口蓋の部位差に着目し、定量的に解析を進めた。タモキシフェンによるレポーター発現の誘導には、1) 4日間のタモキシフェン処理と7日間のチェイス、2) 21日間の連続タモキシフェン処理の2種類の方法を用いた。その結果、レポーターを発現する細胞の出現は、口腔内のいずれの部位の味蕾でもI型細胞が最も多く、III型細胞が最も少ないことが明らかになった。また、レポーターを発現するIII型細胞は、有郭乳頭に最も多くみられた。これは、各部位の味蕾に含まれるI, II, III型細胞の存在比を程度反映していた。しかし、III型細胞にはII型細胞と比較して、存在比から予想されるよりも少ないことが明らかになった。最近、味蕾細胞のターンオーバーにおいて、III型細胞はII型細胞に比べて2倍以上の長い半減期を持つと報告された。今回、EGFPレポーターを発現する細胞の出現がII型細胞に比べてIII型細胞で少なかったのは、III型細胞では長い半減期のために、タモキシフェン誘導時間内に新生される細胞がII型細胞と比べて少なかったからだと推測される。これらの結果は、味蕾基底部のShh発現細胞は、特定の細胞種に偏らずに全ての細胞種に分化することを示している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2種類のタモキシフェン投与条件により、味蕾基底部のShh発現細胞が味蕾内のどの細胞腫に分化するか定量的に解析を進めた。現在、この結果を論文にまとめているところである。また、味蕾基底部でProx1遺伝子のコンディショナルノックアウトの実験を進め、Prox1がノックアウトされた細胞が味蕾内に検出されることを確認した。
|
Strategy for Future Research Activity |
Prox1のコンディショナルKOを行った細胞の細胞種の解析を進める。また、効率良くコンディショナルKOを行うために、定常的に上皮領域でcreリコンビナーゼが活性化されているマウスを利用して解析を進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定通りの研究費の使用を予定している。この使用計画には、組織化学解析を行うための試薬の費用、実験動物の経費、また、論文印刷費が含まれる。
|