2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592743
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
稲永 清敏 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (90131903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 堅太郎 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (40316154)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 脳弓下器官 / 内因性カンナビノイド / パッチクランプ / γアミノ酪酸 / のどの渇き / 飲水行動 |
Research Abstract |
口腔乾燥症は年々増加しており、高齢者の罹患率は特に高い。原因としては、加齢、シェーグレン症候群などの唾液腺疾患、薬物療法の副作用、X線照射療法後の後遺症、心因性によるものなど多岐に渡っており、「のどの"渇き" thirst」や「口の"乾き" dryness」が複雑に絡み合って生じていると考えられている。従来、この領域における研究は主に唾液分泌低下症に焦点を絞って進んできた。我々は、口腔乾燥症の成因を、脳内の口渇中枢の関与を考慮することにより口腔乾燥症を包括的に把握できるのではないかと考えている。本研究は、内因性カンナビノイドと口腔乾燥症との関わりを行動学的・電気生理学的・分子生理学的手法を用いて明らかにし、創薬の開発を視野に入れた研究成果を得ることを目的とすることであった。のどの渇きは、脳室周囲器官の脳神経核ひとつである脳弓下器官により調節される。われわれは、ラット脳スライス標本を用い、脳弓下器官ニューロンよりパッチクランプ法にて、抑制性シナプス電流に対する内因性カンナビノイドの影響を調べた。CB1アゴニストのWIN-522212により抑制性シナプス電流は減少し、CB1アンタゴニストのAM-251により抑制効果は消失した。このことより、内因性カンナビノイドは脳弓下器官においてγアミノ酪酸の放出を抑制することによりニューロン活動を活性化し、のどの渇きを促進している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インビトロ実験により内因性カンナビノイドが「のどの渇き」誘発に関与している可能性を示唆するデータを得ることができ、今後行う動物行動実験につなぐ成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)インビトロ実験を継続し、データの信頼性を高めること、(2)動物行動実験を行うことによって、生理学的意義について明らかにすることを計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
使用するラット、薬物(アゴニストおよびアンタゴニスト、c-Fos抗体など)など消耗品、旅費、謝金などに使用する。
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Research Products
(7 results)