2011 Fiscal Year Research-status Report
バイオフィルムを制御する自己溶菌酵素の同定と機能解析
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23592746
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
加藤 裕久 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (60152740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 晴希 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (30316393)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 遺伝子検索 / 口腔レンサ球菌 / 自己溶菌酵素 / 機能解析 / バイオフィルム |
Research Abstract |
Streptococcus mutansの自己溶菌酵素AtlAは溶菌のみならず、バイオフィルム形成にも関与する。口腔レンサ球菌の自己溶菌酵素についての報告はS. sobrinus、S. downeiとS. gordoniiに限られており、自己溶菌酵素の遺伝子情報は重要である。本研究課題では口腔レンサ球菌の自己溶菌酵素をコードする遺伝子を同定することを目的としている。まず、S. mutans ATCC 25175 からatlA遺伝子の同定を行い、コード領域の塩基配列をデータベースに登録した(AB663344)。次にatlA遺伝子の塩基配列を基に口腔レンサ球菌の自己溶菌酵素遺伝子の同定を試みた結果、自己溶菌酵素と相同性を示す遺伝子は同定されなかった。BLASTによる検索では得られた遺伝子断片はS. orisratti ATCC 700640では、papS 遺伝子(tRNA CCA-pyrophosphorylase)、Salmonella typhimurium plasmid NTP16 hypothetical 16.9K protein、 rpoC遺伝子(DNA-directed RNA polymerase subunit beta' subunit)であった。また、S. mitis ATCC 49456 Strain NS51では、oligopeptide-binding protein SarAの遺伝子、gatA遺伝子(glutamyl-tRNA(Gln) amidotransferase, A subunit)であった。S. anginosus NCTC 10713ではABC transporter, permease proteinの遺伝子であり、S. ratti BHTではmnmA (tRNA-specific 2-thiouridylase)遺伝子であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子同定は一部の菌種で進展している。例えばS. mutans ATCC 25175は標準菌株なので、atlA遺伝子の情報は重要である。 一方、東日本大震災の影響で、大学内の冷凍庫の停電があったので、研究遂行に必要不可欠である保存菌株の生育確認に時間を要した。共同研究施設の稼動が移転のため遅れたことも理由である。 また、予算執行が70%程度となることについて告知が先にあったので、消耗品の購入時期が遅れたことが挙げられる。 タンパク質の発現実験については大腸菌において組換えタンパク質の発現・精製を確認していたところ、低発現で、精製が難しくなっているものがあり、タンパク調製に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔レンサ球菌の自己溶菌酵素をコードする遺伝子の検索をすすめる。自己溶菌酵素にはムラミダーゼ以外の酵素もあるので、それらの同定も考慮して遺伝子同定を行う予定である。 今後、同遺伝子の溶菌活性、フィブロネクチン、デキストランなどとの結合についても検討し、バイオフィルム形成に及ぼす影響を調べる。フィブロネクチン結合実験についてはS. mutans AtlAで行っているところであり、他の自己溶菌酵素のタンパク標品が準備できれば、研究成果の推進が見込まれる。 しかしながら、大腸菌の培養条件、菌体処理・超音波破砕条件、カラム分離条件について検討が必要なので、時間をかけながら条件を探していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬や顕微鏡などの消耗品の購入を5月以降に計画し、発注の手続きを所属機関内で進めている。 また、英語論文校正や論文掲載料などに研究費を用いる。英語論文校正について査読者から細かく英語の質の向上が求められているので、十分な予算確保が必要である。論文受理までの期間が予定できないので、年度末までの執行を心がけたい。 また研究成果発表のための学会参加費を計上している。 なお、本研究課題の他に予定の研究費は次年度予定されていない。
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Research Products
(1 results)