2012 Fiscal Year Research-status Report
三叉神経運動ニューロンの樹状突起における情報処理機構
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23592750
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
井上 富雄 昭和大学, 歯学部, 教授 (70184760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 史朗 昭和大学, 歯学部, 助教 (60384187)
中山 希世美 昭和大学, 歯学部, 助教 (00433798)
望月 文子 昭和大学, 歯学部, 助教 (10453648)
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Keywords | 三叉神経運動ニューロン / 樹状突起 / カルシウムイオン動態 / 二光子励起顕微鏡 / 情報処理 |
Research Abstract |
三叉神経運動ニューロンは極めて発達した樹状突起を持っているが、遠位樹状突起のシナプス入力であっても細胞体に伝達され情報処理がなされていると考えられ、樹状突起上に存在するカルシウムチャネルがシナプス後電位を増幅し、複雑な情報処理を行っている可能性が考えられる。そこで今年度は、二光子励起顕微鏡で観察した三叉神経運動ニューロンの樹状突起各部位のカルシウムイオン動態について、さらに詳しく解析するとともに、各種イオンチャネル拮抗薬の効果を検討した。実験には生後1-5 日齢のWister 系ラットを用い前頭断脳幹スライス標本を作成し、脳幹標本の三叉神経運動ニューロンの細胞体からのパッチクランプ記録を行った。パッチ電極に蛍光カルシウム指示薬のOregon Green 488 BAPTA-1を封入し、細胞内カルシウム濃度の測定に用いると同時に、蛍光色素のAlexa 594も封入し樹状突起を可視化した。三叉神経運動ニューロンにパッチクランプ電極を介して細胞内パルス通電を行って活動電位を誘発し、樹状突起の各部位のカルシウムイオン濃度を二光子励起顕微鏡で観察した。細胞体に活動電位を誘発すると、蛍光強度変化率のピークは多くの樹状突起で細胞体近傍部から遠位に行くにつれて小さくなった。しかし、蛍光強度変化率が中位の樹状突起で高くなる場合が一部で観察された。さらに電位依存性ナトリウムチャネルのブロッカーであるテトロドトキシンを投与するとカルシウム濃度上昇が著しく減弱することから、このカルシウム濃度上昇には樹状突起に分布する電位依存性ナトリウムチャネルの活性化が関与していることを明らかにした。したがって、三叉神経運動ニューロンの樹状突起はシナプス入力を受動的に細胞体へと伝えるだけでなく、それ自体が興奮性を持つことによってシナプス入力情報の増幅や加工など複雑な情報統合処理を行っている可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、2光子励起顕微鏡で観察した樹状突起のカルシウム動態についてさらに詳細に解析を行うとともに、各種イオンチャネル拮抗薬を投与した効果を検討し、樹状突起の情報処理メカニズムにどのようなイオンチャネルが関与しているかを明らかにすることを目的とした。「研究実績の概要」で記載した通り、三叉神経運動ニューロンにパッチクランプ電極を介して細胞内パルス通電を行って活動電位を誘発し、樹状突起の各部位のカルシウムイオン濃度を二光子励起顕微鏡で観察した。その結果、カルシウム濃度上昇が中位の樹状突起で高くなる場合が一部で観察されたことから、一部の樹状突起でシナプス入力の増強が行われている可能性が明らかとなった。さらに電位依存性ナトリウムチャネルのブロッカーであるテトロドトキシンでカルシウム濃度上昇が著しく減弱することから、このカルシウム濃度上昇には樹状突起に分布する電位依存性ナトリウムチャネルの活性化が関与していることが明らかなった。したがって、本研究課題はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、24年度と同様の実験を進めるとともに、各種の電位依存性カルシウムチャネル拮抗薬を投与した効果を検討し、樹状突起の情報処理にどのタイプのカルシウムチャネルが関与しているかについても解析を加える。、また、三叉神経上核や顔面神経核背側の網様体から三叉神経運動ニューロンに入力があることを申請者らはすでに報告しているが、1)それらの入力が個々の三叉神経運動ニューロンの樹状突起のどの位置に入力してどのような電位変化やカルシウム動態の変化につながっているか、2)樹状突起によってシナプス入力を増幅するものがあることが明らかとなったが、増幅機能のある樹状突起と三叉神経上核や顔面神経核背側の網様体からの入力部位との関係などについても解析を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究に必要な実験設備はほぼ揃っているので、研究費は主として、実験の遂行に必要なカルシウム指示薬、ニューロンの可視化に必要な蛍光色素のAlexa 594、各種イオンちゃえる拮抗薬、実験動物、電極材料および国内及び海外での成果発表旅費に使用する。
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[Journal Article] R848, a toll-like receptor 7 agonist, inhibits osteoclast differentiation but not survival or bone-resorbing function of mature osteoclasts.2012
Author(s)
Miyamoto A, Takami M, Matsumoto A, Mochizuki A, Yamada T, Tachi K, Sibuya I, Nakamachi T, Shioda S, Baba K, Inoue T, Miyamoto Y, Yim M and Kamijo R.
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Journal Title
Cytotechnology
Volume: 64(3)
Pages: 331-9
DOI
Peer Reviewed
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[Book] The New Frontiers in Research for Oral Cancer2013
Author(s)
Takami M, Miyamoto A, Matsumoto A, Mochizuki A, Tachi K, Baba K, Inoue T, Mijung Y, Shibuya I, Zhao B, Kamijo R
Total Pages
209
Publisher
MARUZEN
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