2013 Fiscal Year Annual Research Report
三叉神経運動ニューロンの樹状突起における情報処理機構
Project/Area Number |
23592750
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
井上 富雄 昭和大学, 歯学部, 教授 (70184760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 史朗 昭和大学, 歯学部, 助教 (60384187)
中山 希世美 昭和大学, 歯学部, 助教 (00433798)
望月 文子 昭和大学, 歯学部, 助教 (10453648)
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Keywords | 三叉神経運動ニューロン / 樹状突起 / ケージドグルタミン酸 / カルシウムチャネル |
Research Abstract |
三叉神経運動ニューロンは極めて発達した樹状突起を持っているが、遠位樹状突起のシナプス入力であっても、樹状突起上に存在するカルシウムチャネルがシナプス後電位を増幅し、複雑な情報処理を行っている可能性が考えられる。そこで今年度は、生後2~13日齢のラット脳幹スライス標本上の咬筋運動ニューロンの樹状突起の様々な部位をケージドグルタミン酸を利用したレーザー光誘発性化学刺激法で刺激し,誘発される膜電位応答の応答パターン,応答に関わる電位依存性イオンチャネルの種類およびそれらの発育変化について電気生理学的に解析した.生後2~5日齢では,記録ニューロン細胞体周囲の樹状突起相当部へレーザー光を照射すると,複数の箇所で潜時の極めて短い脱分極または活動電位がすべてのニューロンで誘発された.電位依存性Na+チャネル拮抗薬のテトロドトキシン投与下では活動電位が抑制されたが,脱分極の大きさはほとんど減弱しなかった.したがって,これらの脱分極応答は,記録ニューロンの樹状突起をレーザー光により解離したグルタミン酸が直接刺激することで誘発された応答であることが示唆された.生後9~13日齢の幼若ラットでも,すべての記録ニューロンで,細胞体周囲のレーザー光化学刺激によって潜時の短い脱分極が誘発されたが,脱分極の持続時間と振幅が生後2~5日齢よりも著しく減少した.生後2~5日齢,9~13日齢のグループともに,細胞体に近い部位の樹状突起の刺激で大きな脱分極が誘発され、樹状突起の刺激が遠位に加わるほど脱分極が小さくなった.しかし,刺激の部位によっては遠位部の刺激の方が近位部の刺激よりも大きい脱分極を示す応答パターンが認められた.以上の結果から,咬筋運動ニューロンの樹状突起にはシナプス入力の増幅機構が存在し,生後発育とともに変化する可能性が考えられる.
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