2012 Fiscal Year Research-status Report
象牙質・歯髄複合体由来MMPによるう蝕進展機構の解明―新規病態モデルへの展開―
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23592755
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
池尾 隆 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (40159603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
合田 征司 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (70351476)
竹内 摂 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (70548320)
鎌田 愛子 大阪歯科大学, 歯学部, 准教授 (50140215)
吉川 美弘 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (70434793)
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Keywords | う蝕 / 象牙質 / MMP |
Research Abstract |
象牙質由来MMPの解析 歯より象牙質を分離・破砕後、脱灰処理後の組織抽出液を調整した。組織抽出液を濃縮後ゼラチンザイモグラフィーにより、ゼラチンを分解する酵素が含まれることを確認した。ウエスタンブロッティング法とELISA法によりマトリックス・メタロ・プロテアーゼ(MMP)が含まれることを確認した。象牙質抽出液をDQコラーゲン溶液、DQゼラチン溶液に加えコラーゲン、ゼラチン分解活性を検討した。象牙質抽出液添加によりDQコラーゲン、DQゼラチンの分解による蛍光が確認された。各種MMP阻害薬添加によりDQコラーゲン、DQゼラチン分解により生じる蛍光は優位に減弱した。以上の結果より象牙質に酵素活性を保持したMMPが存在することが確認された。 歯髄細胞によるMMPの産生 われわれはTNF-a 刺激によるMMP産生がMAPK経路を介することを既に報告した。本年度の研究により、small G proteinファミリーが炎症刺激下の歯髄細胞の細胞内シグナル伝達に関与するかどうかを検討した。small G proteinの阻害剤およびRNAiによりその活性を阻害すると、炎症刺激によるMMP産生が有意に抑制された。炎症刺激によりsmall G proteinが活性化されるメカニズムをプルダウンアッセイおよびリン酸化特異的抗体を用いた実験により検討した。炎症刺激によりsmall G proteinのリン酸化と下流のシグナル伝達の抑制を確認した。これはリン酸化によりGEFによる活性化が抑制されるという報告と一致している。small G proteinの阻害剤存在下の炎症刺激によりMMPの産生が亢進することを確認した。以上の結果より炎症刺激によるMMP産生にsmall G protein経路が関与していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
象牙質由来のMMPが酵素活性のある状態で抽出することができた。 歯髄細胞のMMP産生に重要なシグナル伝達経路を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
ex vivoの実験系により象牙質あるいは脱灰象牙質によるMMP活性の評価系を確立する。 その後、MMP阻害剤が象牙質中のMMPを阻害するかどうかをex vivoの系で評価する。 さらに、MMP阻害剤と接着修復の併用の可能性を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を遂行する上で必要なDQコラーゲン/ゼラチン、阻害剤、接着修復用レジン、生化学実験用試薬や器具などを研究費として使用する。また情報収集および成果報告のために学会への出張費も計上する。その後、成果を発表する予定であり、論文投稿料も計上する。
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