2012 Fiscal Year Research-status Report
唾液を用いた生体時刻測定法確立のための唾液腺特異的遺伝子の同定
Project/Area Number |
23592756
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
大西 芳秋 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 健康維持機能物質開発研究グループ長 (60233219)
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Keywords | 唾液 / 転写 / クロマチン / 生物時計 |
Research Abstract |
昨年度のChIP on Chip解析において、HSG細胞においてBmal1により制御されている遺伝子が797、Rev-erbaにより制御されている遺伝子が2076、そのうち両方に制御されている遺伝子は500であった。本年度は、HSG細胞をDexamethasone刺激することにより概日リズムをリセットし、12時間後ならびに24時間後にRNAを調製し、マイクロアレイ解析により概日リズム発現をしている遺伝子の同定を試みた。昨年度のChIP on Chip解析においてBmal1とRev-erba両方に転写制御されている遺伝子のうち、Rev-erba自身は概日リズム発現されていることが既に知られており、ポジティブコントロールとして利用可能である。そこでRev-erbaの発現リズムと同様に12時間後に発現が低く、24時間後に発現が高くなる遺伝子をマイクロアレイ解析の結果から検索したところ、1368遺伝子がヒットした。このうちChIP on Chip解析により選択されたBmal1とRev-erba両方に転写制御されている遺伝子と重複する遺伝子は22であった。さらにマイクロアレイ解析における検出シグナルが50以下の、発現量が極めて少ない遺伝子が6含まれており、最終的に16遺伝子が生体時刻測定のマーカー候補として選択された。この16遺伝子のうち、正常ヒト唾液腺細胞における発現を市販のcDNAを用いたRT-PCR解析により検討したところ、Rev-erbaを含む9遺伝子まで絞り込むことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究目的は、昨年度ChIP on Chip解析により選択されたBmal1ならびにRev-erbaにより転写制御されている500遺伝子のうち、生体時刻測定のマーカー候補として利用可能な概日リズム転写をしている遺伝子を選択することである。マイクロアレイ解析の結果からポジティブコントロール遺伝子であるRev-erbaとともに22遺伝子が選択され、さらに発現量が極めて少ないものを除くと16遺伝子まで絞り込むことができた。さらに正常ヒト唾液腺細胞における発現を市販のcDNAを用いたRT-PCR解析により検討したところ、Rev-erbaを含む9遺伝子まで絞り込むことに成功した。この結果は、実際にヒト唾液を用いた生体時刻測定の可能性を示唆しており、実験が当初の計画通りうまく進捗していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験で選択された遺伝子のうち、実際にヒト唾液を用いた生体時刻測定に可能となるような遺伝子を最終的に決定する。マーカー遺伝子として用いる為には、概日リズムのamplitude(リズムの山と谷の差)が大きいほうが利用しやすいので、このマーカーとしての利便性も検討する。さらに決定された遺伝子産物等がヒト唾液中における検出可能性について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画自体の進行は、当初の予定通り進行している為基本的には次年度の研究計画自体に大きな変更はないと考えている。次年度は、抗体等を用い唾液中の遺伝子産物の検出を行うこととなるが、同一産物に対して様々な抗体クローンが存在しており、より高感度に検出する為の詳細な条件検討を行うことに次年度使用額を補充したいと考えている。
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