2011 Fiscal Year Research-status Report
軟骨由来多機能因子カートデューシンによる骨代謝に関わるアンドロゲンの産生調節機構
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23592762
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 隆史 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (80324789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 惣平 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (80173524)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | カートデューシン / Cartducin / CTRP3 / 精巣 / ライディッヒ細胞 / アンドロゲン / 骨代謝 |
Research Abstract |
我々が軟骨組織から同定した 新規分泌蛋白 Cartducin(カートデューシン) は新たなカテゴリーである「C1q/TNFスーパーファミリー」に属し、骨格の形成・成長を調節するなど生理的・病理的に多様な作用を発揮することが明らかになっている。血液中のCartducinの由来を調べる過程で、精巣のアンドロゲン産生細胞にCartducinが多く発現していることが明らかになった。平成23年度の研究で、CartducinがサイクリックAMPを介して精巣ライディッヒ細胞におけるアンドロゲン(テストステロン)の産生を促進することが示された。ライディッヒ細胞株TM3を組換えCartducinで刺激して、アンドロゲン産生の促進作用を調べたところ、濃度依存性にCartducinはアンドロゲン産生を最大で約3倍に促進した。一方、Cartducinは軟骨細胞や血管内皮細胞などに対して細胞増殖を促進することが明らかになっているが、TM3ライディッヒ細胞の増殖には影響を示さなかった。さらに、Cartducinの受容体は現在不明であるが、アンドロゲンの産生促進作用にセカンドメッセンジャーとしてGタンパク質共役受容体を介した細胞内サイクリックAMPや細胞内カルシウム濃度の上昇が関わっているかどうかをTM3ライディッヒ細胞で調べたところ、Cartducinの刺激に応答して細胞内サイクリックAMPが一過性に上昇することが判明した。したがって、セカンドメッセンジャーとして細胞内サイクリックAMPが関わっていることから、Cartducinの受容体はGタンパク質共役受容体のタイプであることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究予定項目である、Cartducinの単独作用およびセカンドメッセンジャーの探索において成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた結果を基にして、Cartducinのアンドロゲン(テストステロン)産生促進作用に関する分子群を探索する。ミトコンドリア内部へステロイド産生急性調節蛋白(StAR)によって運ばれたコレステロールは、コレステロール側鎖切断酵素(P450scc)によって代謝される。その後、小胞体でヒドロキシステロイド脱水酵素(3beta-HSD, 17beta-HSD)で代謝されてアンドロゲンとなり細胞外へ分泌される。これらの蛋白や酵素のうち、Cartducinの刺激に応答して活性化される因子を同定する。また、Cartducin刺激のセカンドメッセンジャーであるサイクリックAMPの下流のシグナル伝達経路についても調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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