2012 Fiscal Year Research-status Report
軟骨由来多機能因子カートデューシンによる骨代謝に関わるアンドロゲンの産生調節機構
Project/Area Number |
23592762
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 隆史 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (80324789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 惣平 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (80173524)
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Keywords | カートデューシン / Cartducin / CTRP3 / 精巣 / ライディッヒ細胞 / アンドロゲン / 骨代謝 |
Research Abstract |
我々が軟骨組織から同定した 新規分泌蛋白 Cartducin(カートデューシン) は新たなカテゴリーである「C1q/TNFスーパーファミリー」に属し、生理的・病理的に多様な作用を発揮することが知られており、前年度までの研究で、CartducinがサイクリックAMPを介して精巣ライディッヒ細胞におけるアンドロゲンの産生を促進することを明らかにした。 平成24年度の研究では、Cartducinのアンドロゲン産生促進作用に関する分子群を探索した。アンドロゲンの合成過程では、ミトコンドリア内部へステロイド産生急性調節蛋白(StAR)によって運ばれたコレステロールが、コレステロール側鎖切断酵素(P450scc)によって代謝されてアンドロゲンとなり細胞外へ分泌されることが必要である。ライディッヒ細胞株TM3を組換えCartducinで刺激して、これらの蛋白や酵素の遺伝子発現やタンパク発現の変化を経時的に調べたところ、CartducinはStARおよびP450scc遺伝子の発現を著しく誘導し、その発現の最大ピークは3時間後であった。同様に、CartducinはStARおよびP450sccタンパクの発現も著しく誘導したが、その発現の最大ピークは遺伝子発現のピークよりも遅く12時間後であった。さらに、Cartducin刺激のセカンドメッセンジャーであるサイクリックAMPの下流のシグナル伝達経路についてもTM3ライディッヒ細胞で調べたところ、Cartducinの刺激に応答して転写因子であるCREBのリン酸化が一過性にみられた。また、Cartducinによるアンドロゲン産生促進作用がプロテインキナーゼAの阻害剤であるH89により抑制されることも判明した。したがって、サイクリックAMPの下流のシグナル伝達経路として、プロテインキナーゼA / CREBを介する経路の可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究予定項目である、Cartducinのアンドロゲン産生促進作用に関する分子群の探索、およびCartducin刺激のセカンドメッセンジャーであるサイクリックAMPの下流のシグナル伝達経路の同定において成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
Cartducinはアンドロゲン産生促進に関わることから、個体の年齢に応じて精巣での発現が変動していることが考えられる。したがって、周産期、思春期、成体期における精巣でのCartducinの発現の変化を調べる。なお、周産期、思春期、成体期はマウスではそれぞれ~2、4~6、8~週齢に相当するので、生後2,4,8週齢の雄マウスの精巣を試料として用いる。また、ライディッヒ細胞におけるCartducin遺伝子の発現調節機構についてもTM3ライディッヒ細胞培養系を用いて検討する。 また、現在当該研究と並行してCartducinノックアウトマウスの作製を進めているが、ノックアウトマウスが得られた場合は、精巣におけるCartducinの役割の解析を遺伝子改変動物モデルでも行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めて行く上で必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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