2013 Fiscal Year Research-status Report
軟骨由来多機能因子カートデューシンによる骨代謝に関わるアンドロゲンの産生調節機構
Project/Area Number |
23592762
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 隆史 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (80324789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 惣平 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (80173524)
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Keywords | カートデューシン / Cartducin / CTRP3 / 精巣 / ライディッヒ細胞 / アンドロゲン / 骨代謝 |
Research Abstract |
前年度までの研究で、CartducinがStAR(ステロイド産生急性調節蛋白)やP450scc(コレステロール側鎖切断酵素)などのステロイド合成に関わる蛋白の発現をライディッヒ細胞内で誘導してアンドロゲンの産生を促進することを明らかにし、その作用にはサイクリックAMP/プロテインキナーゼA/CREBを介するシグナル伝達経路が関与している可能性を明らかにした。 平成25年度の研究では、Cartducinの精巣での発現が個体の年齢に応じて変動しているのではないかという仮説の下で、マウス個体の周産期、思春期、成体期における精巣でのCartducinの発現の変化を調べた。なお、周産期、思春期、成体期はマウスではそれぞれ~2、4~6、8~週齢に相当するので、生後0,1,3,4,6,8週齢の雄マウスの精巣を試料としてパラフィン包埋標本を作製して免疫組織化学染色行った。その結果、0,1週齢マウスの精巣ではライディッヒ細胞にCartducinの発現が認められなかったが、3週齢に達する前思春期から弱く発現を開始し、思春期以降の4,6,8週齢では強く発現することが明らかになった。これらの結果からCartducinは思春期以降の精巣からのアンドロゲン(テストステロン)分泌に関わっている可能性が示唆された。 また、ライディッヒ細胞におけるCartducin遺伝子の発現調節機構についても検討を行った。しかしながら、ライディッヒ細胞培養系においてLH(黄体刺激ホルモン)やEGF(上皮成長因子)、TGF-alphaなどの因子によるCartducin遺伝子の発現変化を調べたが、Cartducin遺伝子の発現を増加させる因子は今までのところ同定するに至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究予定項目である、Cartducinの精巣組織での時間的発現変化の解析において成果が得られた。一方、ライディッヒ細胞におけるCartducin遺伝子の発現調節機構においては現時点では解明するに至っていない。しかしながら、Cartducinは思春期以降の精巣からのアンドロゲン(テストステロン)分泌に関わっている可能性が示唆されたことで、精巣におけるCartducinの生理的役割に関する大きな手がかりが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
当該研究の一部として進めていたCartducin遺伝子欠損マウスの作製に成功したため、同マウスの飼育繁殖と表現型解析を行い、精巣におけるCartducinの役割を個体レベルでも明らかにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度にCartducin遺伝子欠損マウスの作製および同マウスの表現型解析を行う予定であったが、ES細胞のスクリーニングに時間がかかり、同マウスの作製が大幅に遅れたために年度内に表現型解析を開始することができなかったため。 Cartducin遺伝子欠損マウスの飼育繁殖と表現型解析を行い、精巣におけるCartducinの役割を個体レベルで解析する。
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