2011 Fiscal Year Research-status Report
歯周病の慢性化につながる歯周病菌の細胞外脱出の解明
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23592764
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森崎 市治郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 教授 (30116115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 茂久 大阪大学, 歯学部附属病院, 准教授 (00283797)
村上 旬平 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (70362689)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | Porphyromonas gingivalis / エンドサイトーシス / オートファジー / 歯周病 |
Research Abstract |
研究実績の概要歯周病原因菌の一つであるグラム陰性菌Porphyromonas gingivalis(以下P.g.)の主要な病原因子として報告されている。P.g.はエンドサイトーシスを介して細胞内に侵入し、多種多様な細胞機能傷害を引き起こす。しかし、P.g.の細胞内挙動については未解明な部分が多い。近年我々はP.g.が細胞内殺菌機構から逃れるためにリサイクリング経路と呼ばれる、細胞内輸送経路を利用し細胞外脱出と細胞への再侵入を繰り返し、結果として歯周病の慢性化を引き起こす可能性を示した。一方で、P.g.は細胞内分解機構であるオートファジーを利用し、細胞内での殺菌機構から逃れることも報告されている。我々の研究対象でもあるGroup A Streptococcus(以下GAS)は咽頭・扁桃炎などの軽度の疾患から壊死性筋膜炎などの重篤な感染症の原因菌であり、オートファジー機構により分解殺菌される代表的な病原性細菌である。細胞質内へと侵入したGASはオートファゴソームにより捕獲され、その後分解、殺菌される。このように一般的に細胞内に侵入した細菌はオートファジー機構によって分解殺菌されることが知られている。しかしながら、我々はオートファジー欠損細胞内でのP.g.の生存率が減少することを見出した。さらに興味深いことに感染初期の段階で特定のユビキチン関連タンパクと高頻度に共局在を示したことからP.g.は細胞内への侵入後、ユビキチン化、オートファジー機構による認識を経て細胞内分解機構から逃れている可能性が示された。これはP.g.がオートファジー機構を利用し、細胞内に生存し続けることで歯周病の慢性化を引き起こす可能性を示した重要な知見であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
P. gingivalisを認識する新たなユビキチン化関連タンパク質を同定し、その機能解析を進める上でのミュータント株も作成済みである。また、オートファジーとの関連性を探る上で不可欠なGFP-LC3安定発現歯肉上皮細胞の樹立も終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策今後はP. gingivalisとオートファジーとの関連性について調べる予定である。具体的には細胞内に侵入したP. gingivalisを初期段階で認識する細胞側因子(特にユビキチン化関連タンパク質)に着目し、P. gingivalisがどのようにオートファジーを利用し細胞内で生存を維持しているのかについて研究を展開していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
in vitro の実験系において細胞膜成分の一部分に集まる因子を生化学的な手法で解析するため、大量の培養細胞が必要であり、その培養のための培地及び添加剤など。市販の抗体(50千~100千円/本)やsiRNA (78千円/sample)、その発現システム[例:Gateway (invitrogen) 100千円~160千円/kit] 等の購入に使用する。
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Research Products
(4 results)