2011 Fiscal Year Research-status Report
垂直歯根破折の破折間隙にセメント質を誘導してレジンと結合させる治療法の開発
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23592789
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菅谷 勉 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (10211301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天雲 太一 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80451425)
中塚 愛 北海道大学, 大学病院, 医員 (00547648)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 4-META/MMA-TBBレジン / 炭酸カルシウム / 接着強さ / カルシウム溶出 / 骨接触率 / ナノハイドロキシアパタイト / BMP / 象牙質吸収 |
Research Abstract |
4-META/MMA-TBBレジンのポリマー粉末に、炭酸カルシウム粉末を0~80%の濃度で混合し、混合した各粉末にモノマー液とキャタリストを加えて硬化させ、硬化体の曲げ強度、象牙質に対する引っ張り強さ、水中へのCa2+溶出量、EDS分析による硬化体表面の元素分析などを行い、Ca2+が溶出し、必要な強度を有する炭酸カルシウム量を探索した。その結果、炭酸カルシウム濃度が高くなるにしたがって曲げ強度は低下し、牛歯象牙質への引っ張り強さは低下、Ca2+溶出量は多くなった。以上の結果から、接着強さや物性が許容できCa2+溶出が多い炭酸カルシウム濃度として60%が適当と考えられた。次に、炭酸カルシウム粉末を0、30、60%の濃度で混合した4-META/MMA-TBBレジンを、直径1mm、長さ5mmの円柱形に硬化させ移植試料を作製した。この試料をラットの大腿骨の骨髄腔に移植、2,8週後に脱灰薄切標本を作製、試料表面への骨形成量、骨との接触率を計測した。さらに標本の一部はSEMで骨と試料との結合状態を観察した。その結果、炭酸カルシウム濃度が高くなるにしたがって、試料と骨との接触率は向上し、SEMでも骨基質と炭酸カルシウムあるいはレジンが間隙なく直接接している部位が観察され、Ca2+溶出により骨とレジンが糖タンパクなど接着因子を介さずに、直接接触が高まり骨との結合を促進させる可能性が示唆された。一方、ナノハイドロキシアパタイトを複合化したコラーゲン膜を作製、BMPを含浸させて象牙質表面に貼付、ラット大腿筋内に移植して2、4週後に脱灰薄切標本を作製し、象牙質吸収量と硬組織形成量を組織計測した。その結果、ナノハイドロキシアパタイト複合化したコラーゲン膜では低いBMP濃度で高い硬組織形成率と低い象牙質吸収量を示し、ナノハイドロキシアパタイトはBMPによる硬組織形成に有効であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの実験で炭酸カルシウムの至適濃度とナノハイドロキシアパタイトコラーゲン複合体膜に配合するBMP濃度が決定したことから、H23年度の目標はほぼ達成できたことから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
炭酸カルシウム複合化4-META/MMA-TBBレジンにナノハイドロキシアパタイトコラーゲン複合体膜をハイブリッドさせて濃度の異なるBMPを含浸し(菅谷)、ラット結合組織に移植して硬組織形成状態とレジンとの結合状態を評価する(中塚、菅谷)。さらにその成果を元に、犬の歯根に移植を行って(中塚)、病理組織学的にポケット上皮の下方増殖量、セメント質形成量、セメント質とレジンとの結合状態を評価する(中塚、菅谷)。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
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Research Products
(3 results)