2011 Fiscal Year Research-status Report
MIの理念とエビデンスに基づくう蝕治療の合理的な診療ガイドの構築
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23592802
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
久保 至誠 長崎大学, 大学病院, 准教授 (80145268)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | MI / 長期臨床成績 / ランダム化比較試験 / 補修修復 / モニタリング / う蝕の進行速度 / 判定基準 / 意思決定 |
Research Abstract |
1.ランダム化比較試験(RCT):6年後、HEMAの有無間で臨床成績に有意な差は認められなかった。また、フロアブルレジンの6年生存率は、86.5%を示したものの、ハイブリッドレジンに比較すると有意に低かった。2-ステップセルフエッチとエッチアンドリンス接着システムを用いた試験は14年を経過した。両システムとも依然として良好な成績を示している。さらに、日常臨床の調査も高追跡率で継続できた。これまでの研究成果まとめた論文が日本歯科理工学会の論文賞を受賞した。2.う蝕のモニタリング:DIAGNOdent Penによる測定も追加し、データの整理、入力を開始した。盲検法による進行度の3段階評価(停止、許容範囲内の進行、要修復)を行いながら、全データの70~80%を入力した。さらに、根面う蝕の評価では、より客観性を向上させるため、カリオテスター(う蝕象牙質硬さ測定システム)を購入した。3.欠陥のある修復物のモニタリング:う蝕と同様に口腔内写真を撮影しながら継続するとともに、70%以上の症例のデータ整理と評価(停止、許容範囲内の進行、要修復)を終えた。4.補修修復:RCTと同様の評価基準と盲検法による臨床成績の評価を行い、約85%の入力を済ませた。また、補修修復について概説を著し、その普及に努めた。さらに、MIを理念としたエビデンスとコンセンサスに基づくう蝕治療ガイドラインを英文化し(補修修復担当)、世界に向けて発信した。 5.修復治療における意思決定に関する一連のアンケート調査の結果、辺縁着色が同程度の場合、エナメル質に比較すると象牙質おいて再修復を選択する頻度が有意に高いことが判明した。また、う蝕に対する修復の意思決定と辺縁着色における再修復の判定基準との間には関連性が認められた。経験を積むことによりMI的アプローチを選択することから、臨床経験、生涯学習の重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
医療教育開発センター教員の想定外の退職により、歯科医師臨床研修プログラム立案・運営の実務を急遽担当することになった。慣れていないせいもあって、その運営、指導に多大な時間が割かれた。さらに、連携研究者2名も突然退職し、研究の遂行および原著論文の執筆に支障をきたした。
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Strategy for Future Research Activity |
ランダム化比較試験のフォローアップを継続する。う蝕および欠陥のある修復物のモニタリング、補修修復の臨床成績に関しては、できるだけ早急に評価とデータ入力を完了させ、解析作業に着手する。日常臨床における歯冠修復物の臨床成績については、データ入力を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
歯冠修復物の臨床成績調査、モニタリングのデータ入力および更新を行うために、技術支援員を雇用する。これまでの研究成果をまとめ、国際学会およびシンポジウム{東京(日本)、イグアス(ブラジル)、マイアミ(アメリカ)、シアトル(アメリカ)}で発表する。修復治療の意思決定に関する調査結果を国内学会(岡山)で発表する。さらに、日本歯科理工学会、日本歯科保存学会および日本接着歯学会の学術大会に参加し、研究課題に関する意見交換および情報収集を行う。。
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Research Products
(7 results)