2011 Fiscal Year Research-status Report
光増感剤を応用したレーザーによる根管内細菌検査法の有用性に関する研究
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23592805
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
木村 裕一 奥羽大学, 歯学部, 教授 (60211877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 啓全 奥羽大学, 歯学部, 講師 (10265209)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 光増感剤 / 根管治療 / ナノ粒子 / 細菌検査 / レーザー / 臨床診断 / 蛍光色素 / 歯内療法 |
Research Abstract |
蛍光色素としてローダミンB(蛍光ピーク波長580 nm)とインドシアニングリーン(蛍光ピーク波長780 nm)の2種類を用いた。そしてこれらの色素を、材質としてポリD,L乳酸を用いて、形状は球状で粒子径は250 nmのナノ粒子化したものを使用した。最初にin vitroの系を用いて、2種類の蛍光色素が及ぼす細胞毒性と障害性について調べた。細胞株としてCa9-22を用いて濃度(0、10、100、1000 μg/ml)の範囲では24時間後の細胞死については濃度依存的に若干の増加傾向にあったが、有意差は認められなかった。次にKBとCa9-22の2種類の細胞株を用いて濃度(0、10、100、1000 μg/ml)の範囲でトリチウムを用いてラベルしたチミジンの取り込みを24時間後に調べたところ、細胞株Ca9-22を用いたローダミンB色素の影響は全く認められず、細胞株Ca9-22を用いたインドシアニングリーンの影響と細胞株KBを用いたローダミンBとインドシアニングリーンの影響では濃度依存的に若干のチミジンの取り込み抑制傾向が認められたが、有意差を示さなかった。限定的な時間と濃度ではあるが、in vitroの系では細胞毒性や障害性に関しては、使用した2種類の蛍光色素では影響がないことが示唆された。 蛍光色素を検出する器械としてDIAGNOdent(波長652 nm)を使用し、2種類のナノ粒子化した蛍光色素による反応を濃度(0、0.01、0.1、1、10 mg/ml)の範囲で調べた。濃度依存的に反応は強くなったが、2種類の蛍光色素を比較すると、検出する器械の波長の関係でローダミンBの方が良いように考えられた。また、細菌との関係では特定の菌種でなく口腔内常在菌の複合した菌が存在すると反応が強くなることから細菌には付着していることが考えられた。しかし、非特異的に象牙質への付着も認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
根管治療への臨床応用を前提に考えているので、細胞毒性や障害性がなく、かつ生体に為害性がない蛍光色素を選択しなければならないので、数多く存在する蛍光色素のなかから選択するのに予想外の時間を消費してしまった。次に選択した色素をナノ粒子化したものを用いて細胞毒性を調べる段階になって、ナノ粒子なので濾過滅菌ができるばずなのに、凝集を引き起こし濾過滅菌できないために長期に渡る細胞培養ができなくなってしまった。ナノ粒子化した色素は、低濃度では保存するのに難しく、高濃度にすると凝集してしまうので、保存方法を工夫する必要性があることが判明した。また、ナノ粒子化した色素は予想外に非特異的に付着することも判明し、これらが研究の遅れにつながった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度にin vitro の系を用いて細胞毒性と障害性の観点から2種類の蛍光色素を選択し、さらに蛍光色素を検出する器械との相関性から判断して応用できる可能性がある1種類までに絞りこんだ。まず、選択した蛍光色素のナノ粒子化したものを長期保存する方法を調べる必要がある。長期保存するにはどのくらいの濃度で、安定させるための添加物が必要なのかどうか、またその添加物は生体に為害性がないかどうかを調べる。また、抜去歯を用いて象牙細管内にどの程度浸入するのかを、あまり浸透性がないようなら浸透度を増加させる方法がないのかを検討し、最適な条件と方法を調べる。そして、象牙質に対して非特異的に付着するので、非特異的に付着したものを洗浄して除去する方法に関して抜去歯を用いて調べる。除去する方法としては通常の診療で使用されている10%次亜塩素酸ナトリウムや3%過酸化水素水、15%ETDA液から生理食塩水にいたるまで調べる。細菌であればすべて付着するのか、特異的に付着する細菌があれば種類まで調べる必要がある。感染根管内に存在する細菌から、通常は存在しないような口腔内常在菌までいくつか選定して調べる。また、使用する際には色素の最適濃度を調べ、決定する必要がある。研究する内容が多方面に渡るため、同じ分野の医局員から研究協力者を募り、協力を求める。そして、基礎的な研究に関しては、本学の基礎講座でこの研究分野に詳しい研究者に、さらに他大学の同じ専門家にも声をかけ、意見を聞いたり、共同研究の道も探る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は主に、抜去歯を用いて蛍光色素の付着状況と洗浄除去の方法を、また細菌培養をして蛍光色素との付着状況を調べることになるので、それに必要な試薬、器具、細菌株を購入する。また、根管外に取り出した切削片は、現有のDIAGNOdentで測定できるが、プローブの先端が大きいため根管内を直接、測定することができない。そのため、新たに先端のプローブ直径が細いDIAGNOdentPENを購入し、根管内壁に付着した細菌を直接測定することができるかどうかを検討する。
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Research Products
(1 results)