2011 Fiscal Year Research-status Report
Tooth wearにおける咬耗因子と酸蝕因子の相互作用
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23592808
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
安藤 進 日本大学, 歯学部, 准教授 (40120365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高見澤 俊樹 日本大学, 歯学部, 助教 (60373007)
吉田 武史 日本大学, 歯学部, 兼任講師 (20434079)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | Tooth wear / 酸蝕 / 咬耗 / 摩耗量 / 衝突摩耗試験 / 表面粗さ |
Research Abstract |
エナメル質に対する咬耗と酸蝕の相互作用によるtooth wearの影響を明らかにし包括的な予防法を提示することを目的としている。研削ウシエナメル質試片に種々の酸蝕因子,咬耗因子を同時に付加することとした。すなわち,酸蝕関連物質,マウスリンス,歯磨剤および蒸留水に浸漬されたエナメル質に咬合運動をシミュレートした衝突摩耗を負荷し,wear量の測定および表面性状の観察を行なうことによって,そのwear挙動をレーザー顕微鏡およびSEMを用いて分析検討した。その結果,衝突摩耗量および表面粗さは,浸漬した関連物質によって異なるものであった.とくにwearの程度は,介在した関連物質のpHおよび組成の影響を受けたことから,臨床においてこれらの食品などの摂取は十分に留意するべきであること,およびマウスリンスや歯磨剤には衝突摩耗を予防する可能性のあることが示された。 研究成果から,エナメル質の衝突摩耗性は,使用する物質のpHとの関連が強いことが示唆されたことから,濃度を変えたリン酸水溶液(pH3.0,5.0,7.0)を調整しエナメル質の衝突摩耗に及ぼす影響を検討した。その結果,衝突摩耗試験後の衝突摩耗量と平均粗さおよびリン酸水溶液のpH3.0,5.0,7.0とリン酸濃度との間には,相関が認められた。また,リン酸溶液に浸漬後の表面硬さと溶液のpH,リン酸濃度の間にも相関が認められた。 これらのことから,衝突摩耗試験によるウシエナメル質の摩耗性は表面硬さの低下による影響を受ける成績を示したため,溶液のpH依存性およびリン酸濃度依存性があることが示唆された。また,実施計画にある衝突摩耗試験用ロッド先端の改良については,ステンレス以外の材料をロッド先端材料として簡単に使用できるように製作が行われた。 これらの研究成果については,関連する学会および学術誌で発表することができ,順調に進展している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の実施計画は,エナメル質に対する咬耗と酸蝕の相互作用によるTooth wearの影響を明らかにすると共に包括的な予防法を提示することを目的として,咬耗応力を軸に酸蝕因子および予防因子を組合せたin vitro実験を展開し,レーザー顕微鏡,ヌープ硬さおよびSEM分析によって表面性状への影響を検討し,得られた研究成果については,関連する学会および学術誌に公表した。しかし,超音波パルス測定を用い内部性状への影響については,予備実験の結果から試料の調整方法の見直しを行い今後検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
Tooth wearに対する咬耗と酸蝕の相互作用を明らかにし,包括的な予防法を提示するための研究方策については,変更することなく23年とほぼ同様の研削ウシエナメル質試片に種々の酸蝕因子,咬耗因子を同時に付加する。エナメル表面性状の解析には,無処理条件で表面アラサの測定,プロファイル分析,摩耗量の測定,表面色の測定および内部性状の観察については,超音波パルス測定とSEM分析で解析し,Tooth wearの予防法をin vitroで明らかにする。また,得られた研究成果を取りまとめ,関連する学会で発表し社会に情報を発信する。 初期のwear挙動については,SEM観察などから介在,浸漬する溶液によってその摩耗挙動の進展パーターンが異なることが推測されたことから,Tooth wearによる初期のウエア挙動を明らかにする検討を追加し行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度の研究経費のうち直接経費として計上する金額については,23年度と同様に物品費,学会への旅費および学術誌への投稿費用などで使用する予定である。
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Research Products
(2 results)