2012 Fiscal Year Research-status Report
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23592814
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
林 誠 日本大学, 歯学部, 准教授 (00301557)
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Keywords | 歯内治療 / 生体材料 / 硬組織形成 / セメント |
Research Abstract |
歯内療法領域における代表的なセメントであるMineral Trioxide Aggregate(MTA)は,高い生体親和性と辺縁封鎖性から広く歯内療法に使用されている。しかしながら,操作性の改善や生体に及ぼすメカニズム解明の必要性が指摘されており,価格自体も比較的高価な材料である。そこで本研究の目的は,上記の問題点を改善した新たな歯内治療用セメントを考案し,材料の基礎的解析を行うとともに,開発の一助とすることである。 平成24年度では,平成23年度に引き続き歯内療法用セメントとして使用可能な各種セメントの開発を継続しながら,材料が細胞分化マーカーの遺伝子およびタンパク発現に及ぼす影響について解析を行った。 まず実験系確立のためMTAを使用し,多分化能を有する未分化間葉系細胞株であるC2C12細胞と共培養した。その結果,細胞分化マーカーであるRunx2、OsterixおよびSox9発現はMTAで有意に増加し、MyoDおよびLPLでは有意に減少した。さらにMTAによって増加したRunx2、OsterixおよびSox9発現はカルシウムチャネルブロッカーによって有意に減少し,低下したLPLおよびMyoD発現は上昇した。以上のことからMTAはC2C12細胞の骨芽細胞への分化を,遊離するカルシウムイオンによって促進することが示唆された。 つぎに,平成23年度に考案したCalcium Phosphate Cement(CPC)にフッ化物を添加することによりフルオロアパタイトを形成する新たな歯内療法セメントを開発した。本材は骨芽細胞の分化と骨形成を促進する可能性が考えられ,骨芽細胞を使用したin vitroの培養実験およびラットを使用したin vivoの動物実験にて高い生体親和性を確認した。現在,本材のC2C12細胞の分化に及ぼす影響について,上記と同様な培養条件にて検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの達成度に関しては,おおむね順調に進展していると考えられる。本研究目的は従来から利用されている歯内治療用セメントの問題点を改善した新たな歯内治療用セメントの基礎的解析である。 「研究実績の概要」で述べたように,平成24年度ではCalcium Phosphate Cement (CPC)にフッ化物を添加することによってフルオロアパタイトを形成し,歯内治療用セメントとして利用できる可能性を持つ新たなセメントを考案した。本材の生体親和性についてin vitroの骨芽細胞による培養実験およびラットを使用したin vivoの動物実験にて,高い生体親和性を確認できたことは大きな成果と考えられる。 また,多分化能を有する未分化間葉系細胞株であるC2C12細胞をセルカルチャーインサートにて各種セメントと共培養し,細胞分化マーカーの遺伝子およびタンパク発現を解析する実験方法も確立することができた。さらに,これらの結果を国際学術雑誌に掲載し,本研究に関する情報を広く提供できたことも重要な進展と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては,歯内治療用セメントとして使用可能と考えられるMineral Trioxide AggregateやCalcium Phosphate Cement以外の材料に関しても模索しながら,平成24年度に得られた結果を基にし,各種材料が細胞分化マーカーの遺伝子発現に及ぼす影響について引き続き解析を続ける予定である。さらに,実験動物を使用しながら各種セメントを使用した際のin vivoの解析を病理組織学的および免疫組織学的な手法を取り入れながら,より詳細な情報を得る予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究は前述したようにおおむね順調に進展しているため,本年度研究費をほぼ予定通り使用したが,細胞培養用材料の購入に関して予定より安価に入手することができた。そのため25,872円の繰越額が生じ,次年度の研究費と合わせて使用したいと考えている。すなわち,物品費として各種歯内治療用セメントの購入,細胞培養,遺伝子解析などに必要な試薬,薬品,さらに動物実験に必要な実験動物や各種手術器具などの購入も予定している。得られた研究成果に関しては,本研究費を使用して関連学会での発表や国際学術雑誌などへの投稿を行う予定である。
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Research Products
(7 results)