2011 Fiscal Year Research-status Report
バイオアクティブ修復材料による象牙質再石灰化う蝕治療の確立
Project/Area Number |
23592817
|
Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
秋本 尚武 鶴見大学, 歯学部, 講師 (40184113)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | う蝕治療 / バイオアクティブ修復材料 / 象牙質再石灰化 |
Research Abstract |
本研究において平成23年度に計画した研究は、1)バイオアクティブ修復材料からのミネラルイオン徐放の確認 2)バイオアクティブ修復材料によるう蝕脱灰象牙質の再石灰化の確認(1週保管試料の評価)である。1)バイオアクティブ修復材料からのミネラルイオン徐放の確認、における研究実績について報告する。評価材料の一つであるGIOMER修復システム(レジン接着システムとコンポジットレジン)からの各種イオン徐放量を測定した。測定したイオンは、Al、B、Ca、La、Na、P、Si、Sr、Fの9種類である。測定結果より、B、Sr、Fの3種類のイオンの徐放量がコントロールと比較して有意に高い値を示した。結果から特にう蝕脱灰象牙質の再石灰化に関連すると考えられるストロンチウムイオン(Sr)とフッ化物イオン(F)が徐放されており、臨床においてGIOMER修復材料をシステムとして使用した場合でも各種イオンの徐放が期待できることが示唆された。 評価材料の一つである試作リン酸カルシウム系材料に関して、1)象牙質接着への影響、2)象牙細管内での経時的変化、3)エナメル質亀裂への浸透性、の実験を行い臨床での各性能を比較検討した。研究結果より、象牙質に塗布したリン酸カルシウム系材料は水洗により容易に除去でき、さらにその後のセルフエッチングシステムを用いた象牙質接着に影響を及ぼさないことが明らかになった。これまでう蝕象牙質の再石灰化に用いていた材料は除去が困難であったが、本材料を用いることで、再石灰化したう蝕象牙質を保存しレジン接着材による最終修復処置に移ることが可能性であることが示唆された。また本材料は歯面に擦り付けるように塗布することで、象牙細管やエナメル質の亀裂にも浸透することから、象牙細管やエナメル質亀裂の封鎖にも効果があることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度に予定していた研究のうち、ミネラルイオンの徐放量に関しては概ね測定が終了している。一方で、う蝕脱灰象牙質を試料とした研究においては、う蝕原生細菌によるう蝕脱灰象牙質の試料作製に遅れが生じており、研究結果が得られていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度以降は、平成23年度に得られた結果および現在継続中の研究に加え、予定している研究を遂行していく。平成23年度に問題となったう蝕原生菌を用いたう蝕脱灰象牙質の試料作製においては、個体差が原因と考えられるう蝕脱灰象牙質のばらつきの可能性が高いことから、予備試料作製による対応を検討することにする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究計画のうち、バイオアクティブ修復材料によるう蝕脱灰象牙質の再石灰化の確認において、う蝕原生菌を用いたう蝕脱灰象牙質の試料作製に時間を要したことにより、実験の一部が予定どおりに進まなかった。そのため、予定していた超微小押し硬さ測定が行えず、本年度使用予定の研究費の一部を次年度に使用することとなった。試料作成に時間を要した原因として、1)試料作成に用いる抜去の収集が予定より遅れたこと、2)う蝕原生菌によるう蝕脱灰象牙質のサンプリングが不十分であった、ことなどが挙げられる。現在、試料作製は順調に行われていることから、平成24年度以降は各種測定および学会での研究成果発表そして学会誌への論文投稿等に予定どおり研究助成金を使用することができると考えている。
|
Research Products
(3 results)