2011 Fiscal Year Research-status Report
直接覆髄・断髄・歯周病治療に応用可能な薬剤徐放型多目的生体接着システムの開発
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23592822
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Research Institution | Kibi International University Junior College |
Principal Investigator |
中村 真理子 吉備国際大学短期大学部, 保健科, 教授 (90284067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 靖弘 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90281162)
松川 昭博 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90264283)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 可視光硬化型ゼラチン / リン酸化プルラン |
Research Abstract |
本研究では可視光硬化型ゼラチン、リン酸化プルランを使用することにより、直接覆髄・断髄,歯周病・インプラント周囲炎により吸収された骨の再生療法に応用可能な多目的生体接着システムの開発を目指している。接着剤には、強固な接着性という点で材料の安定性が求められるが、その一方で創傷治癒までには速やかに分解消失する必要があるという相反する特性を実現する必要がある。本年度は可視光硬化型ゼラチン,リン酸化プルランが上記機能を有しているかどうかの確認を行った。本年度の研究成果を以下に示す。1.動物実験による直接覆髄・断髄用材料としての機能評価 方法:ラットの上顎臼歯露髄面をリン酸化プルランにより直接覆髄したのち、1週間、2週間、4週間、8週間経過したのち屠殺。上顎臼歯を摘出し、薬剤の歯髄への影響の調査を行った。 結果:光学顕微鏡にて観察した結果、2週間経過時点では骨様象牙質の形成が認められた。8週間経過した時点においても窩洞にリン酸化プルランが残存していることが確認された。以上の結果から,リン酸化プルランは歯質へ接着し,なおかつ為害性の少ない材料であることが確認された。2.可視光硬化型ゼラチン、リン酸化プルランの生体吸収性の確認 方法:マウスの皮下に可視光硬化型ゼラチン、リン酸化プルランを埋入し48時間後にその反応を観察した。結果:可視光硬化型ゼラチンは48時間後には完全に吸収されており皮下の組織を観察した結果,炎症反応は認められなかった。リン酸化プルランは添加したリン酸カルシウムの種類により吸収速度に差があることが確認された。3.薬剤徐放能評価リン酸化プルランに抗がん剤・抗生剤を添加したモールドを作製し徐放効果について検討したところ,リン酸化プルランには徐放効果がありなおかつ薬剤により徐放量に差があることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,可視光硬化型ゼラチン・リン酸化プルランを基本材料として,直接覆髄,断髄に加え,歯周病やインプラント周囲炎により吸収された骨の再生療法にも応用可能なまったく新しい薬剤徐放型の多目的生体接着システムを開発することを目的としている。本年度は接着剤に求められる性質すなわち、材料の安定性ならびに速やかに分解消失する特性を有しているかどうかの確認を行い,可視光硬化型ゼラチン・リン酸化プルランともに上記性質を有していることが確認された。またリン酸化プルランには薬剤徐放能があることも確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,以下の項目を通して,(1)直接覆髄・断髄や (2)歯周病・インプラント周囲炎により吸収された骨の再生療法に応用可能な多目的生体接着システムを開発することを目的としている。すなわち,(1) 分析化学的手法ならびに細胞実験による薬剤徐放能評価(2) 動物実験による直接覆髄・断髄用材料としての機能評価(3) 動物実験による骨再生能評価である。平成23年度は(1) 分析化学的手法による薬剤徐放能評価 (2) 動物実験による直接覆髄・断髄用材料としての機能評価について一定の成果を得ることができたが引き続きこの項目について実験を継続していく予定である。また平成24年度は動物実験による骨再生能評価につき実験を開始する。具体的にはマウスあるいはラットの大腿骨・脛骨・頭蓋骨に欠損を作製して,薬剤を混入した可視光硬化型ゼラチンならびにリン酸化プルランにて修復し,組織学的に評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度以降の研究費の使用計画は当初予定していたとおり消耗品費,研究打ち合わせ・成果発表旅費ならびに投稿料(別刷代含む)のみで,研究遂行上,必要不可欠な経費のみである。以下に主だった用途を記す。<試薬類>可視光硬化型ゼラチンおよびリン酸化プルランの作製・手術・組織切片作製 <器具類>材料の調整・手術・組織切片作製 <実験動物>マウスおよびラットなお当初,調整した試料の分析等のための機器使用料を計上していたが機器使用料が発生しなかったため,次年度繰越となった。繰越金は試薬類,器具類購入に加える予定である。
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