2012 Fiscal Year Research-status Report
歯科用金属へのプラズマCVDによるチタニアコーティング-白い金属を目指して-
Project/Area Number |
23592829
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
依田 正信 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (70005073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸森 亮太朗 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (80534065)
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Keywords | プラズマCVD / 歯科用合金 / チタニアコーティング |
Research Abstract |
最先端成膜プロセス技術の一つ,マイクロ波プラズマCVD (Chemical Vapor Deposition)成膜技術を歯科分野に応用し,歯科用金属表面へのチタニアコーティングによる,いわゆる「白い金属」を歯冠修復物に応用することを目的に、これまで,歯科用合金である金銀パラジウム合金,純チタンについて研究を行ってきた.本年度は歯科用金合金である白金加金(金70、銀4.7、白金6.0、銅19、その他:イリジウム)表面へのチタニアコーティングを試みた。前年度の純チタン表面への成膜条件を基に、マイクロ波出力、成膜圧力を各3段階に変化させ、プラズマCVDコーティング行った。コーティング後の試料について、(1)X線回折による結晶相同定、(2)高速分光光度計による測色、(3)SEMによる微細組織観察、以上を行った。 その結果、(1)結晶相はいずれの条件においても,主要な生成物としてルチル型チタニアおよびTiO2が認められた.(2)測色結果では、白金加金は表面にチタニア皮膜が生成されているもののその色調はチタニア本来の白色ではなく灰白色であり、金属色を十分に遮蔽しているとはいえない結果であった。これは、当分野で今までに行った、金銀パラジウム合金を基板とし実験を行った際の結果同様であり、基板に銀が含まれていることが、原因と思われる。(3)SEMによる観察では、等方性の結晶組織が観察されたが,結晶構造が粗造であり組織的にはまだ脆弱であった。 以上の結果から、白金加金を基板とした場合も、合金に含まれる銀(Ag)がマイクロ波プラズマCVD によるチタニアコーティングによる白色化の阻害因子と考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、歯科用金属への白色コーティングによる審美性の改善である。平成24年度に行った、白金加金へのプラズマCVDコーティングの実験結果からは、白金加金金属色の十分な遮蔽効果が認められたとは言いがたい。過去の金銀パラジウム合金の結果と今回の結果を合わせ考察すると,その原因として基板合金に含まれている銀が原因であることを明らかにすることができた.白色コーティングに向けて基板条件を検討するにあたり、この解明は大きな前進である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、前年度の研究結果を基に、引き続き純白金を基板とした成膜実験を行い,白色化への銀成分の影響について明らかにする.その結果銀成分の影響が明らかになれば,銀成分を含まない歯科用合金を試作し,基板条件、成膜条件を検討しつつ、より白色化できる条件を探すと伴に、臨床応用への必須条件である、付着強度の評価を実施していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、主として試作合金を含め,歯科用金属材料費、研究打ち合わせ及び成果発表旅費が主たる部分を占める予定である。
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