2012 Fiscal Year Research-status Report
粘着シリコーンの接着機構の解明と義歯床粘膜面応用に関する研究
Project/Area Number |
23592834
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 奈央子 東北大学, 大学病院, 医員 (80510015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30178644)
小山 重人 東北大学, 大学病院, 准教授 (10225089)
塙 総司 東北大学, 大学病院, 助教 (90431585)
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Keywords | 粘着シリコーン |
Research Abstract |
頭頚部腫瘍治療後の患者の口腔内は、顎骨切除、粘膜の瘢痕化や脆弱化、放射線治療による唾液量減少、などにより義歯装着に対して非常に不利な環境になりやすく、義歯安定剤使用を余儀なくされる場合もある。しかし、強力な安定剤は除去が困難であり、義歯や口腔内の残留物は粘膜の炎症を引きおこす原因となる。従って、口腔粘膜への痛みを緩和し、接着力を有する義歯の開発が求められている。 本研究の目的は、義歯床粘膜面応用に対する粘着シリコーンの所要条件検索である。 これまで実験で使用してきた粘着シリコーンは、製作する際サンプルに気泡が多く混入することが問題視される様になってきた。実際義歯床粘膜面応用を考えると、気泡の少ない粘着シリコーンの開発が必要である。また1/60のシリコーンの製作は、ベースの量に比較して極少量のキャタリストを計るのに熟練が必要であり、操作性の向上も課題であった。本年度はこれらの改善に重点をおき、キャタリストと架橋剤の比率を変化させることによって粘着性を出し、2種類の同量のシリコーンを反応させる事によって製作できるシリコーンを開発し、今まで使用していた(CBR)1/40,1/50,1/60に近い粘着性を有し、ほとんど気泡の無いサンプルができあがった。 そのサンプル2種類を選び、粘着度の低いもの、高いもの、と今まで試験を行っていた(CBR)1/60について引っ張り試験を行った。結果(CBR)1/60が最も高く、新しく開発した高粘着シリコーン、低粘着シリコーンの順にTensile strength は低くなっていった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで実験で使用してきた粘着シリコーンは、サンプルに気泡が多く混入することが問題視される様になっており、気泡の少ない粘着シリコーンの開発が必要である。また1/60のシリコーンの製作は、ベースの量に比較して極少量のキャタリストを計るのに熟練が必要であり、操作性の向上も課題であった。本年度はこれらの改善に重点をおき、キャタリストと架橋剤の比率を変化させることによって粘着性を出し、2種類の同量のシリコーンを反応させる事によって製作できるシリコーンを開発した。それを用いて機械的性質の検討を開始したところである。
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Strategy for Future Research Activity |
新しく開発したシリコーンの機械的性質の検索を引き続き行う。また、 義歯床レジンの①初期硬化前②初期硬化後③完全硬化後の群に分けて、義歯床レジン重合程度とシリコーン填入のタイミングについて最適時期を検索。また、粘着シリコーンの劣化、唾液存在下における機械的性質について検討を行う予定である。以上より、義歯床用レジン, 最適厚みを有する粘着シリコーンのサンプルについて、義歯床用レジン:加熱重合型(アクロン,GC),マイクロ波重合型(アクロンMC,GC)粘着シリコーン(低粘着・高粘着)、これらの組み合わせからなるサンプルについて、引張接着強度・圧縮強度などを測定し、材料の最適条件、所要条件を検索する。 これらの結果より絞られた、最適な組み合わせの候補2タイプについて、以下の試験を行う。1) 劣化についての検討、走査型電子顕微鏡により表面構造観察(吸水による影響(水中浸漬試験)、エタノールやアルカリによる影響(薬液浸漬試験)、機械的ストレスによる影響(繰り返し負荷試験)、口腔内の温度変化による影響(サーマルサイクリング試験)2) 唾液存在下における機械的性質についての検討(引張接着試験、曲げ・圧縮強度の分析)
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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