2011 Fiscal Year Research-status Report
脳幹反射を利用した下顎運動機能障害に対する診断基準の確立
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23592870
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小見山 道 日本大学, 歯学部, 講師 (60339223)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 咬筋抑制反射 / 触覚閾値 / 疼痛閾値 / 加齢 |
Research Abstract |
咬筋抑制反射は、体性感覚神経刺激により咬筋の自発的収縮が抑制される反射である。この反射は、外受容性抑制反射(Exteroceptive Suppression:ES)とも呼ばれており、オトガイ神経領域を刺激すると、早発性および遅発性の2相性に筋活動の抑制が観察される。早発性の咬筋抑制反射(ES1)は刺激から9-15ms後、遅延性の咬筋抑制反射(ES2)は刺激から40-60ms後に発現し、脳幹反射と考えられている。近年、顎関節症や緊張型頭痛、三叉神経痛における病的状態を反映すると報告されているが、臨床応用においては、まだ信頼性や妥当性の検討が必要とされている。これまでの研究において、刺激強度の標準化が行われ、その発現閾値における男女差について報告されている。 今年度においては、磁気刺激に対する咬筋抑制反射を発現させ、その発現様相と年齢の関連を検索するとともに、咀嚼筋の筋・筋膜痛患者や、各種疼痛性疾患を有する患者群の評価において、咬筋の反射を利用した客観的な診断の基準値を示すことを目的とした。これまでに、若年群と高齢群に分け実験を行い、ES1は若年群、高齢群のどちらにも発現したが、ES2は高齢群には発現せず、年齢の影響を示唆する結果を得た。さらに、その原因や意義を解析し、触覚閾値、疼痛閾値の測定を同時に行い合わせて検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、磁気刺激に対する咬筋抑制反射を発現させ、その発現様相と年齢の関連を検索し、咬筋の反射を利用した客観的な診断の基準値を示すことを目的とした。これまでに、若年群と高齢群に分け実験を行い、ES1は若年群、高齢群のどちらにも発現したが、ES2は高齢群には発現せず、年齢の影響を示唆する結果を得た。さらに、その原因や意義を解析し、触覚閾値、疼痛閾値の測定を同時に行い合わせて検討した。 その結果をこれまでに国内外で学会発表を行い、以下のように国際誌に論文として受理されている。Influence of age and gender on trigeminal sensory function and magnetically evoked masseteric exteroceptive suppression reflex. Osamu Komiyama, Ryoko Nagata, Takashi Iida, Kelun Wang, Peter Svensson, Lars Arendt-Nielsen, Antoon De Laat, Misao Kawara. Arch Oral Biol 2012 in press
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、正常被験者と機能障害を有する患者群において触覚閾値,疼痛閾値,および咬筋抑制反射の連続磁気刺激に対する回復度を比較し、機能障害の客観的診断のための基準値ならびにその症状改善に伴う変化様相を検索する。さらに被験者からのデータを追加、収集し,その後最終的なデータ処理を行う。すなわち触覚閾値,疼痛閾値,および各磁気反復刺激間隔に対する咬筋抑制反射の回復度の平均値と標準偏差を計算し、得られた平均値に対して対照群と実験群を比較するための分散分析を行い、下顎運動機能障害患者の特異性を検討し、さらにその治癒過程での数値の変化を検討していく。また確立した方法論や実験結果に関して,日本補綴歯科学会や日本顎関節学会,あるいは国際歯科学会などにて学会発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
筋電図計測をはじめとする各種実験に必要な消耗品およびデータ解析のためのパーソナルコンピュータを購入予定である。また、得られた結果を国内外で学会発表するための旅費、交通費や学会参加費として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)