2011 Fiscal Year Research-status Report
間接修復用コンポジットのマトリックス制御による耐摩耗性向上
Project/Area Number |
23592871
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小泉 寛恭 日本大学, 歯学部, 講師 (20339229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 英雄 日本大学, 歯学部, 教授 (40199857)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 歯学 / 複合材料・物性 |
Research Abstract |
間接修復用コンポジットは現在,国民の審美的な要求の高まりとともに,機能と審美性を兼ね備えた補綴装置である硬質レジン前装冠の前装材料として広く臨床応用されてきている。間接修復用コンポジットは,同じ歯冠色材料である陶材と比較して築盛,形態付与が容易である性質を持っている。その反面,間接修復用コンポジットは,陶材と比して強度が十分ではなく,また複合材料である特色から咬耗や摩耗しやすい性質を持つ材料である。その為,硬質レジン前装冠の前装範囲は,摩耗を受けやすい部位である咬合面を避けて設定されるのが常であった。具体的な例を挙げると,下顎小臼歯部においては特に審美的な問題が多いと考えられてきている。近年,その問題を解決すべく,機械的性質の向上や耐摩耗性の改善に関する研究がなされてきた。その結果,間接修復用コンポジットの被覆範囲を広くする設計も取り入れられてきているが,その長期的な予後はいまだ不明な点があり,臨床的な観点からの諸性質の検討が必要である。 本研究は,間接修復用コンポジットのマトリックスに着目しその転化率を制御することにより,耐摩耗性を改善し,口腔内で長期間機能する補綴装置を国民に提供することを目途とした。平成23年度に実施した研究の成果は,ハロゲンランプを使用し,光源,コンポジット試料間の距離を4条件に設定し,表面硬さ,重合深度,転化率,摩耗深さを測定した。その結果,表面硬さ,重合深度および摩耗深さは光源距離に反比例したのに比して,転化率は一定であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光源別の実験は,順調に推移しており,ハロゲンランプのコンポジットに対する基礎的な実験結果は既に得られている。今後,光源を蛍光管,ハロゲンランプ等に変更し,摩耗実験等を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
摩耗試験における模擬咬頭試料(対合歯)には,金属,セラミックス(シリカ系,アルミナおよびジルコニア)および間接修復用コンポジットを使用する。特に,歯科用高強度セラミックス(ジルコニア)を対合歯として,他の材料への摩耗に及ぼす影響を調べた報告はまだない。荷重条件,摩耗回数,擬似食物等の実験条件の設定は,ISO/TS14569-2を参考に設定する。試験後の摩耗形状,摩耗深さの測定は,走査型レーザー顕微鏡を使用する。 今回の耐摩耗性の評価は,多面的に行うことを目的としており,走査型レーザー顕微鏡の画像処理システム(3D image: LMeye)を使用し摩耗形状,摩耗体積および摩耗深さを測定する。また,滑沢度,光沢度についても精密光沢度計を用いて測定する。光重合条件の適正化(放射強度,時間等)を行いマトリックスの転化率を制御することによる耐摩耗性の改善について,良好なる結論が得られる見込みである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費を摩耗試験における様々な材料試料を作製するために使用する。旅費は,国内旅費に使用し,学会での調査,成果発表の為に使用する予定である。また,謝金は英文論文作成時の校正料としての使用を予定している。
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