2012 Fiscal Year Research-status Report
ジルコニアをコアとする全部陶材冠の耐破折強度の改善
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23592872
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
後藤 真一 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (10105504)
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Keywords | ジルコニア / CAD/CAM / 表面処理 / 剪断試験 / 焼付強さ |
Research Abstract |
この研究の目的は、CAD/CAMシステムで作製したコアの形態の違いによるオールセラミッククラウンの基本的な強さを測定すること、クラウン全体の強さを向上させるため、コアセラミックスと前装用陶材の結合強さを向上させる方法を検討することにある。平成24年度は、最終目的であるオールセラミッククラウン全体の強さを向上させる方法を検討する前段階として、現在臨床で行われている方法で焼成したコアセラミックスと前装用陶材の結合強さがどの程度なのかを調べるため、次の様な実験を計画した。現在行臨床で行われているジルコニア製コアを作製する方法と同工程の方法で試料を作成した。直径8.0mm、長さ10mmの円筒状試料20個をCAD/CAMシステムで作製し、前装陶材焼付面(円筒状試料片端面)にサンドブラスト・スチーム洗浄を行って、自作した金型を用いてオペーク陶材(GC社製Frame Modifier)とデンチン陶材(GC社製Dentin) をそれぞれ直径10.0mm、厚さ6.0mm 一定となるように盛り付けメーカー指示の方法で焼成した。次に、直径10.0mm、長さ10mmの円筒状試料10個を半焼結状態のジルコニアからCAD/CAMシステムで作製した。10mmの円筒状試料片端面にコアセラミックスと前装用陶材の結合強さ向上させる効果があると期待し選択した薬剤10種を塗布した後完全焼結体とし、オペーク陶材をメーカー指示の方法で焼成した。合計30個の円筒状試料は、専用の剪断治具にセットしオートグラフを用いて破壊に至るまで応力負荷試験を行った。オペーク陶材とデンチン陶材との焼付強さはそれぞれ36.5MPa(28.4~44.5), 40.0 MPa(24.6~48.5)であった。表面処理した試料の焼付強さは、23.9 MPa~ 51.1 MPaの範囲にあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、最終目的であるオールセラミッククラウン全体の強さを向上させる方法を検討する前段階として、現在臨床で行われている方法で焼成したコアセラミックスと前装用セラミックスの結合強さがどの程度なのかを調べることであった。いくつかの文献にも紹介されていることではあるが、金属焼付陶材のようにジルコニアのコアは前装陶材と化学的な結合メカニズムを持っていない。技工士の間ではオペーク陶材を適用しない事例も度々あるとの実験協力者(技工士)の意見を取り入れ、コアセラミックスにオペーク陶材(GC社製Frame Modifier)とデンチン陶材(GC社製Dentin) をそれぞれジルコニアのコアに焼付け,剪断焼付強さを測定した。この基礎データを基にオールセラミッククラウン全体の強さを向上させる方法を検討するため、コアセラミックスと前装陶材の結合強さ向上させる効果があると期待し選択した薬剤10種の効果について予備実験を行った。薬剤を塗布した試料の焼付強さは、23.9 MPa~ 51.1 MPaの範囲に有り焼付強さの向上に効果のある薬剤のあることがわかった。現在は、結合強さを向上させる効果があると期待しできる薬剤の選別と実験規模について検討しているところである。合わせて、最終目的であるオールセラミッククラウン全体の強さを向上させる方法を検討する前段階として、前装用セラミックス自体の強さを向上させる方法について予備実験を行っているところである。平成23年度の研究成果は、平成24年10月13、14日に開催された日本歯科理工学会学術講演会において、「オールセラミックスクラウンの強さに及ぼすジルコニアコーピングの厚さとサポート形態の影響」と題して発表を行い、日本歯科理工学会学術講演会発表優秀賞を受賞した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終目的は、オールセラミッククラウン全体の強さを向上させる方法を検討することにある。今年度の研究の目的は、コアセラミックスと前装陶材の結合強さを向上させる方法を検討することにある。コアセラミックスと前装陶材の結合強さを向上させる効果があると期待し選択した薬剤の効果については、平成25年10月19、20日に開催さる日本歯科理工学会学術講演会において研究成果を発表する予定である。ジルコニアとの焼付き強さの向上に効果のあった薬剤について、コア用セラミックス(ジルコニア)の完全焼結体および半焼結体の丸棒を準備し、表面を鏡面状態まで研磨した後、以下の3種類の表面状態の試料を準備する。(コアの表面粗さ(3水準:サンドブラスト面、ダイヤモンドポイントによる研削面、無処理面))コアに3種類の前装用セラミックスを焼付け(CERABIEN ZR: NORITAKE DENTAL, VINTAGE ZR: SHOFU, INC, Cercon ceram kiss, Degudent GmbH)剪断焼付強さの測定を行う。実験結果を統計解析し焼付強さを最大限に向上させる方法を検討する。以上が今後の研究の推進方策の基本的な考えであるが、実験結果が想定外であった場合には、実験協力者と対面会議、メール等で意見交換しながら、研究の方向性を修正検討してゆく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度科学研究費基金助成金交付決定金額は、390,000円で、うち直接経費300,000円、間接経費90,000円であった。直接経費の使用計画は、物品費300,000円、旅費0円、人件費0円、その他0円と申請してあった。今年度の研究の目的は、コアセラミックスと前装陶材の結合強さを向上させる方法を検討することにある。この研究目的を達成するため、コア用セラミックス(ジルコニア)・前装陶材・コアセラミックスの表面改質のための薬剤の購入に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)