2013 Fiscal Year Research-status Report
ジルコニアをコアとする全部陶材冠の耐破折強度の改善
Project/Area Number |
23592872
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
後藤 真一 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (10105504)
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Keywords | CAD/CAM / ジルコニア / コーピング / 前装陶材 / 結合強さ |
Research Abstract |
この研究の目的は、CAD/CAMシステムで作製したコアの形態の違いによるオールセラミッククラウンの基本的な強さを測定すること、クラウン全体の強さを向上させるため、コアセラミックスと前装用セラミックスの結合強さを向上させる方法を検討することにある。 平成24年度は、コアセラミックスと前装用セラミックスの結合強さを向上させる方法として薬剤の塗布法を検討した。コアセラミックスと前装用セラミックスの結合強さを向上させる効果があると期待し選択した薬剤10種を塗布した後完全焼結体とし、オペーク陶材をメーカー指示の方法で焼成した。合計30個の円筒状試料は、専用の剪断治具にセットしオートグラフを用いて破壊に至るまで応力負荷試験を行った。(クロスヘッドスピードは、0.5mm/minとした。)オペーク陶材とデンチン陶材との焼付強さはそれぞれ36.5MPa(28.4~44.5), 40.0 MPa(24.6~48.5)であった。表面処理(薬剤塗布)した試料の焼付強さは、23.9 MPa~ 51.1 MPaの範囲にあった。平成25年度は、前装陶材の焼付強さを向上させる効果があると期待し選択した薬剤 10 種類の中で,一番効果のあった薬剤(Indium tin oxide)を拡散させた見かけの濃度溶液 5 種類( 0.1mM ~1M )を半焼結円柱状試料端面に各0.5mL滴下乾燥後完全焼結した。なお、薬剤を使用しないで焼結した試料をコントロールとして用いた。完全焼結した試料の薬剤処理面にオペーク陶材(Frame Modifier,ジーシー)を築盛し、メーカー指示の方法で焼付けた。焼付強さは剪断法で測定した。繰り返し数は6とした。焼付強さは薬剤の濃度によって30.8~62.9MPaまで変化し、濃度1mMの薬剤塗布のとき無処理に比べ有意に向上した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究の目的は、CAD/CAMシステムで作製したコアの形態の違いによるオールセラミッククラウンの基本的な強さを測定すること、クラウン全体の強さを向上させるため、コアセラミックスと前装用セラミックスの結合強さを向上させる方法を検討することにある。 平成23年度は、CAD/CAMシステムで作製したジルコニアコーピングの形態の違いによるオールセラミッククラウンの基本的な強さを測定すること、クラウン全体の強さを向上させるため、ジルコニアコーピングの形態と厚さを検討することであった。オールセラミッククラウンを破壊するのに要した破壊荷重は、ジルコニアコーピングの厚さが増すほど、サポート面積が増える形態によって有意に向上した。平成23年度の研究成果は、平成24年10月13、14日に開催された日本歯科理工学会学術講演会において、「オールセラミックスクラウンの強さに及ぼすジルコニアコーピングの厚さとサポート形態の影響」と題して発表を行い、日本歯科理工学会学術講演会発表優秀賞を受賞した。平成24年度は、コアセラミックスと前装用セラミックスの結合強さを向上させる方法として薬剤塗布法を検討した。薬剤10種をそれぞれ用いて表面処理(薬剤塗布)した試料の焼付強さは、23.9 MPa~ 51.1 MPaの範囲にあった。選択した薬剤の中には塗布するだけで焼付強さが優位に向上するものがあった。平成25年度は、前装陶材の焼付強さを向上させる効果があると期待し選択した薬剤 10 種類の中で,一番効果のあった薬剤(Indium tin oxide)の最適濃度を検討した。焼付強さは薬剤の濃度によって30.8~62.9MPaまで変化し、濃度1mMの薬剤塗布のとき無処理に比べ有意に向上した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終目的は、オールセラミッククラウン全体の強さを向上させる方法を検討することにある。今年度の研究の目的は、コアセラミックスと前装用セラミックスの結合強さを向上させる方法を検討することにある。平成24~25年度の研究成果であるコアセラミックスと前装用セラミックスの結合強さを向上させる効果のある薬剤の発見(Indium tin oxide)、最適濃度の決定(1mM)によって、コアセラミックスと前装用セラミックスの結合強さが51.1MPaおよび62.9MPaと格段に向上することがわかった。今年度は、平成23年度に計画設計したCAD/CAMシステムで作製したジルコニアコーピングに薬剤(Indium tin oxideの1mM濃度分散液)を塗布し形態の違いによるオールセラミッククラウンの破壊強さを測定して、平成23年度測定したデータと統計学的に比較検討する。その後さらにオールセラミッククラウン全体の強さを向上させるため前装陶材自体の強さを向上する方法について検討する予定である。以上が今後の研究の推進方策の基本的な考えであるが、実験結果が想定外であった場合には、実験協力者と対面会議、メール等で意見交換しながら、研究の方向性を修正検討してゆく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残金が少額であったので、次年度への繰越金として有効活用するため使用しなかった。 次年度は最終年度であるので繰越金として使用する予定です。
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Research Products
(1 results)